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ギリシャ神話最大の英雄ヘラクレスと賢者ケイローンの死

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ギリシャ神話で最大の英雄といえば「ヘラクレス」ではないでしょうか。半人半馬の「ケンタウロス族」の賢者「ケイローン」には、このヘラクレスに関わる物語もあります。というより、ケイローンの死はヘラクレスによってもたらされてしまったのでした。

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ケイローンの弟子だったヘラクレス

ヘラクレスは、最高神ゼウスとミケーネの王であるエーレクトリュオーンの娘アルクメーネーとの間に生まれた、半神半人でした。このヘラクレスも、若いときにケンタウロスの賢者ケイローンから武術を学びます。つまり、ケイローンに預けられて育ったアキレウスと、そしてこのヘラクレスというギリシャ神話の2人の英雄の師匠はケイローンだったわけです。

やがてヘラクレスは剛勇無双となりますが、女神ヘーラーに吹き込まれた狂気によって我が子を殺してしまい、その罪を償うためにアポローンの神託によって、ミケーネの王となっていたエウリュステウスに仕えて10の困難な勤めを果たすことになります。

その4番目の仕事は、エリュマントス山に棲む人食いの大猪の怪物を退治することでした。大猪の怪物はそれほどの苦労もなく生け捕りにしたのですが、このときにケイローンの生死に関わる出来事が起こります。

 

ヘラクレスが乞うた酒から事件が起こる

ヘラクレスはこのとき、ケンタウロス族のポロスに助力を求めていました。ポロスはケイローンと同じように、他のケンタウロス族の者たちとは出自が異なっていて、セイレーノス(シレノス)というやはり半人半馬の種族の者とトネリコの木の精霊との間に生まれました。ちなみにセイレーノスはケンタウロスよりも人間に近いようで、臀部と脚や尾が馬の姿なのだそうです。

ポロスはこのような出自ですから、他のケンタウロス族のように野蛮ではなかったのです。ヘラクレスはエリュマントス山に行く途中でポロスと会い、歓待されました。ヘラクレスは酒が欲しくなりポロスに請いますが、ポロスはケンタウロス族が共有していた酒の甕を開けることを躊躇しました。この酒は、豊穣と酩酊の神ディオニューソスから授かったものだったからです。

しかしヘラクレスが重ねて頼むと、しかたなくポロスは甕を開けてしまいました。

 

ヘラクレスの毒矢に射られたケイローン

すると酒の匂いに誘われてやって来たケンタウロスたちが現れ、勝手に甕を開けたことに怒って襲撃して来たのです。入って来たケンタウロス族のアンキオスとアグリオスという者を、ヘラクレスは燃え木を投げつけて追い払い、他のケンタウロスたちにも矢を射かけながら応戦して追いかけました。

これによってケンタウロスたちはマレアーという場所まで逃げて行きましたが、このマレアーにはケイローンの住居があったのです。逃げて来たケンタウロスたちはケイローンの影に隠れようとしますが、ヘラクレスはその者たちに向かって矢を放ちました。その矢はケンタウロス族のエラトスの腕に当たり、突き抜けてケイローンの膝に刺さってしまいました。その矢には、ヒュドラーという怪物の毒が塗ってあったのです。

自分の師匠を毒矢で射てしまったヘラクレスは、慌ててケイローンから渡された薬を矢傷に塗りますが、ヒュドラーの毒は治すことのできない毒でした。ケイローンは不死の身体だったので、逆に不治の毒がもたらす苦しみから逃れることができなくなってしまいました。

 

ケイローンとポロスの死

結局ケイローンは自分の不死性を、人間に火を渡したことで知られるプロメテウスに譲って死ぬことになります。他のケンタウロス族の者たちは、この出来事をきっかけに逃げて各地にバラバラとなってしまいました。またポロスは、ヒュドラーの毒矢がケンタウロス族の者たちを倒したことに驚き、死体から矢を抜いて調べていたところ、誤って毒矢を足に落として刺さってしまい死んでしまいました。

ケイローンは死んで天に上がり星座の射手座に、またポロスは同じく天上でケンタウロス座になったということです。

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