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好き嫌いがはっきりしている妖怪・河童(1)キュウリと相撲

カッパ

 

河童の一般的に知られるイメージというと、子供ぐらいの背格好で緑色の肌、背中に甲羅、頭にはお皿を載せ、クチバシのような尖った口で手足には水かきがあって、好きな物はキュウリ。こんなところでしょうか。
日本で初めて河童の姿を描いたとされる江戸中期の「和漢三才図絵」では、背中の甲羅もなく猿のような姿かたちなのですが、それがどうしてこういう姿になっていったのかについてはまたあらためて探るとして、河童はどうしてキュウリが好物なのでしょうか。いやキュウリだけでなく、河童は何が好物で何が嫌いか、とてもはっきりとしている妖怪なのです。
そんな河童が好きな物を、今回は紹介してみることにしましょう。

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河童が好きな食べ物

数多くの日本の妖怪のなかでも河童ほど好き嫌いがはっきりしている、というかそういった生態がわかっているとされる妖怪は他にはいないかも知れません。
例えば河童と並んで三大妖怪のひとつとされる天狗にしても、好物はお酒で(顔が赤いから?)嫌いな物は鯖だとされています。なぜ鯖が嫌いかと言うと、天狗の長い鼻は人間よりも匂いに敏感で鯖の匂いに耐えられないのだとか。天狗にしても、好き嫌いはせいぜいこんなものです。

 
対して河童の好物はと言うと、まずキュウリ。河童がなぜキュウリが大好物なのかは、諸説あってはっきりとはしていません。河童は実は人間の肉が好きなのだが、河童にとってはキュウリの味が人間の肉の味に似ているので、人間を食べる替わりにキュウリの味を覚えたからだという説がありますが、どうも良くわかりません。

 
ナスが好きとする伝承もあります。キュウリやナスなど中に水分の多い野菜は水神様の依代(よりしろ=神様が依り憑くモノ)とする考え方があるそうで、そういったところから水の妖怪(水神が落ちぶれて妖怪の河童になったという説もあります)である河童の好物となったとも言われています。いずれにしろ河童と言えばキュウリというわけで、キュウリを巻いた巻寿司を「カッパ巻き」というのは、誰でも知っていますよね。

 

 

相撲好きの妖怪と言えば河童

河童が好きな遊びと言えば相撲です。
これは全国に様々にある河童伝承のなかでも共通して伝わっていることだそうで、子供など人間を見るとすぐに相撲を取りたがります。

 
河童はとても力持ちで、小さな身体にも関わらず人間の大人にも負けません。そして人間が負けると、河童は相手の「尻子玉(しりこだま)」を抜くとも言われています。尻子玉とは肛門にある想像上の玉ということですが、これがまた河童の大好物なのです。

 

河童との相撲に勝つ必勝法?

尻子玉を抜かれてはたまりませんから、人間のあいだでは河童に勝つ必勝法が伝えられました。
それはとても簡単で、まず相撲を取る前に河童に対してお辞儀をするというもの。そうすると河童もお辞儀を返すのですが、そのとき頭を下げるので、頭の皿の水がこぼれて河童は力が出せなくなるというものです。

 
なんともたわいのない話ですが、どこか間の抜けた河童の性格が想像されます。そのほかにも、仏前に供えた飯を食べれば、子供でも河童に負けないという説もあるそうです。

 
このように相撲好きの河童は、結局は人間に負けてしまうのですが、なぜ河童が相撲好きとされるかと言うと、そもそも日本の相撲というのは古代より格闘技であると同時に神々に感謝を示す神事で、水神様に捧げる行事でもあったことから河童は相撲好きとなったということのようです。

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