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西欧三大モンスターのひとつ狼男のイメージは映画から生まれた!?

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みなさんは「狼男」と聞くと、どんなイメージを抱かれるでしょうか。満月の夜に、人間の姿から凶悪な狼男へと変身する獣人。狼男にひとたび噛まれると狼憑きの呪いを受け、その者も狼男、狼女になってしまう、などなど。

「人狼」や「狼人間」、英語では「ワーウルフ(werewolf)」フランス語では「ルー・ガルー(loup-garou)」として知られ、ドラキュラやフランケンシュタインの造り出した怪物と並んで、西欧の三大モンスターのひとつとも言える狼男。そんなモンスター界の大スターは、どうして生まれたのでしょう。

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狼男のイメージをつくったのはハリウッド映画?

一般的に知られる狼男は、第二次世界大戦中の1941年に製作されたハリウッド映画の「狼男」が出発点になっているようです。1930年代に「魔人ドラキュラ」や「フランケンシュタイン」の大ヒット作を製作したユニバーサル社が、新たなモンスターを主役として製作したホラー作品がこの映画「狼男」。

実際には、ユニバーサルはそれ以前の1935年に「倫敦の人狼」という作品を製作していてこれが現存する最も古い狼男映画ですが、やはり代表作は1941年の「狼男」なのでしょう。なお、フィルムが現存しない最古の狼男映画はバイソン社という映画会社の「ワーウルフ」という作品で、これは1913年に製作されたそうです。

やがて年を経て映画「狼男」は、2010年に同じユニバーサルの作品「ウルフマン」としてリメイクされました。戦時中の作品も現代のリメイク作品もその舞台はともにイギリスで、リメイク作品の時代設定は1891年だそうですが、たしかに19世紀末のイギリスに現れる狼男というのがイメージ的になんとなくしっくりくる気もします。

 

日本にもあった狼男映画

ちなみに日本を舞台に狼男が暴れる映画があるのかというと、日本とスペインの合作映画「狼男とサムライ」(1984年製作)というのがあるそうです。

この映画は日本を舞台にしながら残念なことに日本未公開だったのですが、主演はオールドファンには懐かしい天地茂さん。天地さんはテレビドラマ「江戸川乱歩シリーズ」の明智小五郎役で知られる俳優ですが、映画「狼男とサムライ」はこの天地さんが晩年に自らのプロダクションとスペインの映画会社との合作で製作しました。狼男が現れるのは大正時代の日本で、ヨーロッパから狼化の治療のためにやってくるのだそうです。

この作品のほかには、日本の映画で狼男を主役にしたものはどうも見当たらないようです。例えば、妖怪が数多登場する水木しげるさんのマンガやアニメ作品でも、狼男はヨーロッパからやって来た西欧妖怪。ただしその登場は早く、貸本マンガ時代の「墓場鬼太郎」シリーズ(「鬼太郎夜話(4)顔の中の敵」)にロンドンから来た人狼として現れ、その後の鬼太郎アニメのシリーズにも現れました。

 

狼男は極めてヨーロッパ的なモンスター!?

このように、狼男はハリウッド映画でも日本の映画やマンガ・アニメでも、その現れる舞台や出身は常にイギリスなどのヨーロッパです。

妖怪や化け物の宝庫と言ってもいい日本には、なぜか狼男はいませんでした。それがどうしてなのかについては、機会がありましたらまた探ってみたいと思いますが、ともかくも狼男というのは極めてヨーロッパ的なモンスターである、ということなのでしょうか。

古くから映画作品によってイメージが形作られ広く知られた狼男ですが、それは決して映画用に創作されたモンスターというわけではありません。もちろん狼男にも、遥か古代の起源や長い伝承の歴史があるのです。

狼男ははたして、どうして誕生しどこからやって来たのか? そんな謎を探って行きたいと思います。

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