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四神の神獣、朱雀とは(2)朱雀と鳳凰、ガルーダ、フェニックス

朱雀

四神のうち南の方位を司る「朱雀(すざく)」は、同じく中国大陸で古代から霊鳥・神鳥とされる「鳳凰(ほうおう)」と同一視されます。また、インド神話に登場する「ガルーダ」あるいは古代エジプト神話からギリシャ、ローマへと伝わって行った「フェニックス」とも起源が同じであるとする説もあります。共に古代文明から伝わって来た神鳥たちは、朱雀とどんな関係があるのでしょうか。

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五色の神鳥から赤い火の鳥へと変化して行った鳳凰

鳳凰はすべての動物の長であるとも言われ、聖なる皇帝が治める平和な世にのみ姿を現す瑞鳥(めでたいことが起こる前に現れる鳥)であるとされます。

鳳凰の「凰」は皇帝であり「鳳」は鳥ですから、まさに鳥の皇帝あるいは皇帝や国を護る鳥というわけですが、一方で「鳳」が雄の鳥を「凰」は雌の鳥を表し、雌雄つまり陰と陽が調和した平安な世界も象徴しています。

鳳凰が朱雀と異なるのは、赤色を象徴する朱雀に対して本来の鳳凰は青・白・赤・黒・黄の5色に輝くということ。中国最古の地理書と言われる「山海経」には、鶏の頭に燕のあご、首は蛇で背中は亀、尾は魚で、翼が5色に輝いていると紹介されています。

四神の考え方を生みだした陰陽五行思想から言えば、鳳凰は5色すべてを合わせ持っているということですが、もともとは風の属性を備えていた鳳凰は四神の朱雀と同一視されるようになって朱雀の火の属性を持つようになり、色も赤が強調されて描かれることが多くなりました。

 

龍族と敵対する火の鳥ガルーダ

ガルーダはインド神話に登場する火の鳥です。万物の造物主であるプラジャーパティの娘であるヴィナターと、創造神ブラフマーの息子のカシュヤパとの間に生まれた息子。同じくカシュヤパの妻でありヴィナターの姉妹であるカドゥルーが「ナーガ(龍神・蛇神)」を生んだので、神鳥であるガルーダと龍神のナーガは従兄弟同士になります。

しかし、ガルーダとナーガはやがて敵対関係になり、ガルーダはナーガを退治する聖なる鳥として崇拝されるようになりました。
ガルーダの頭や嘴、翼や爪は鷲であり胴体は人間の姿をしていて、翼は赤く全身は黄金色に輝いているとされます。火や炎の属性、龍と関係性があるなど、朱雀との類似性は古くから言われていて、もしかしたら遥か古代にはつながりがあったのかも知れません。

 

炎に飛び込んで再生する不死鳥フェニックス

フェニックスは、死んでも蘇り永遠の時を生きる「不死鳥」として有名です。その寿命を迎えると自ら火の中に飛び込み、また蘇ることからフェニックスも火の鳥と呼ばれています。

もともとは古代エジプト神話の不死の霊鳥「ベンヌ」が原型と考えられていて、ベンヌは長い嘴を持った青サギまたは赤と金色の翼のサギとされています。ベンヌは太陽神ラーに従い、ラーの神殿で燃やされる炎のなかに毎夜飛び込んで死に、翌朝その炎から生れ出ると考えられていました。つまり夕に沈み朝に昇る太陽を象徴していたのです。

このベンヌがギリシャの歴史家ヘロドトスによって、アラビアに住む不死鳥フェニックスとして紹介され、今日まで伝承されて来ました。
フェニックスは一般に鳳凰との類似性がよく言われますが、火の属性との関係で言えばもともとは鳳凰よりも朱雀であり、古代エジプトのベンヌ、古代インドのガルーダ、そして古代中国の朱雀という火の鳥のつながりが想像されるかも知れません。

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