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不死鳥「フェニックス」が悪魔的な存在として語られる理由

火の鳥 鳳凰 フェニックス
メジャーな伝説の神獣のひとつであるフェニックスは、その燃えるような姿から別名「炎の鳥」と呼ばれたり、中世に流行した錬金術の世界では「不老不死の象徴」として捉えられたりもしていました。フェニックスは、何度でも蘇る不屈の存在として描かれる一方、悪魔的なイメージで語られることも多い存在です。

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不老不死?自ら再生するフェニックス

悪魔的なイメージを持たれる理由としては、いくつかのフェニックス独特の特徴があげられます。例えば寿命は、500年とも1万年ともいわれていて、その寿命ゆえに古代ローマの時代の学者プリニウスは、著書『博物誌』の中で、「世界で1羽だけ実在していて、普段はアラビアにいる」と記しています。しかも後年錬金術の世界で取り上げられた際には、「死ぬときは自ら焼け死に、灰の中から再び蘇る」とされていたため、いわば「不老不死の存在」であった、ともいえます。また、「フェニックスは雄しか存在しなく、(先に述べた方法で)何度も単体で再生する」といった説や、「死期が近づくと巣にこもり、死んで腐敗した体にわいたウジが鳥の姿になって再生する」といった説も存在しています。普通の生き物にはないような生態を持っていること、かつどことなく不気味な逸話が多かったことが、悪魔的であることの理由のひとつといえそうです。

 

ゴエティアの描かれたフェニックス

また、17世紀頃に著された作者不詳のグリモワール(フランス語で「魔術」の意味)関連の著書『ゴエティア』では、フェニックスは悪魔として紹介されています(厳密には、フェニックスと区別するためか、「フェニクス」という表現で記されています)。この著書は、キリスト教の旧約聖書で記されているソロモン(古代イスラエルの王)に由来するといわれている魔法書で、ソロモンが願いをかなえる際に呼び出して使っていた72人の悪魔の性格や特性、呼び出すための魔法円や呪文などが記されています。ここで、フェニックスの姿を持つフェニクスが、ソロモン72柱のひとりであり、序列37番として描かれています。

 

人間の姿で現れることもある?

『ゴエティア』によるとフェニクスは、召喚されると鳥(=フェニックス)の姿であらわれ、非常に美しい音楽のような声(一説によると「子供のような声」ともいわれています)で話し、さらに詩を作る能力に優れているために「話す言葉はそのまま詩となる」そうです。このため、その美しい声を聞いた人間は、自らフェニクスの餌となってしまう、とのことです。しかし、人間の姿であらわれることもあり、その際には「普通に聞いていられないほど聞きづらくひどい声」で話します。これらは当時研究されていた「悪魔学」にもとづく性格付けであり、『ゴエティア』の存在は、フェニックスが一部で「悪魔的な存在」として捉えられている原因のひとつである、と思われます。

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カテゴリ: その他

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