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悲劇の不老不死伝説「八百比丘尼(やおびくに)伝説」

八百比丘尼

洋の東西を問わず、人間が古代から求めてきたもののひとつに「不老長寿」や「不老不死」があります。ちなみに不老長寿はいつまでも若く長生きすることで、不老不死は若いまま決して死なないことですから、ふたつの言葉の意味はだいぶ違います。

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不老長寿と不老不死

男女を合わせた日本人の平均寿命は、WHO加盟国の統計では83.7歳(2015年)と世界一ですが、いまから100年前の大正時代では42.3歳、江戸時代は30歳代半ばから40歳ぐらいだったと推計されています。室町時代以前になると20歳に届くかどうかで、古代から戦国時代まではほぼそのぐらいであったと考えられています。

 
このように平均寿命がこの100年で急激に伸びたのは、例えばヨーロッパでも状況は同じで、昔の人から見れば現代人は不老ではないにせよ、かなりの長寿を獲得していることになります。
ですが不老不死は、それとはまったく異なる永遠に手に入らない望みなのです。

 

 

かなえられない人間の望みだった不老不死

最近、アメリカのアルベルト・アインシュタイン医科大学のグループが、人間の寿命が125歳を超えるのは難しいという研究成果を発表しました。つまり、どんなに寿命が延びても限界があるのだということです。

 
人間は古代から不老不死にあこがれ、しかし不老不死を求めるのは愚かであると考えて来ました。紀元前3世紀頃の中国の始皇帝は死を怖れるあまり、蓬莱国の仙人の不老不死の薬を探すよう徐福に命じ、ついに探せなかった徐福は日本に亡命したと言われています。一方、仙人の薬が手に入らなかった始皇帝は、水銀を材料とした薬を飲んでその猛毒で死んでしまいました。
このように、どんなに権力や財力があっても手に入らない不老不死ですが、はからずも不老不死となった女性の伝説が日本にはあります。それが「八百比丘尼(やおびくに)」伝説です。

 

 

不老不死は悲劇の始まり

八百比丘尼の「八百」とは八百歳生きたという意味で、「比丘尼」とは出家した女性、つまり尼さんのことですが、男性の出家修行者を指す「比丘(びく)」の女性版。比丘とはもともと乞食(こつじき)のことで、まったく生産に従事せず遊行(各地を巡り歩くこと)して修行する人を指しています。

 
八百比丘尼は、八百歳となっても決して老いることがなかったといいます。まさに不老不死の女性であったわけですが、それではどうして不老不死になったのでしょうか。それも自分が望むことなくはからずも。それは彼女が若いときに、知らずに人魚の肉を食べてしまったからなのでした。

 
八百比丘尼の伝説は、不老不死という悲劇の伝説です。その伝説がどのようなお話だったのかは、また別の記事でご紹介することにしましょう。

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