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錬金術師の祖「ヘルメス・トリスメギストス」と神秘の数字3

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錬金術界隈で、伝説的かつ象徴的な存在として語り継がれている「ヘルメス・トリスメギストス」ですが、「ヘルメス思想(いわゆる「不思議ジャンル」を好む考え方の呼称のひとつ)」というキーワードと、単なる数値という位置付けを超えて、さらに宗教をも超えたあらゆる神の存在を象徴するシンボリックな数字である「3」を組み合わせた、非常に普遍性を得た、錬金術の範疇をも超えたキーワードとして知られています。「3」の持つ意味をさらに考えていきます。

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3回転生したヘルメス

「トリスメギストス」には、ヘルメスという名を持つ三人の賢者(神や偉人など)の属性をあわせもっているがための「三重に偉大」という意味のほかにも、「3回転生する」、つまり同じ人格または人の属性が、別の人間または生き物として3回生まれ変わる、という意味も持っています。

こちらのほうは実在の人間が実現した出来事として伝わっていて、一度目はピラミッド建設の祖(およそ1万年以上前)として生まれ、二度目は有名な「ノアの洪水(紀元前2500年頃)」の時期に活躍し、三度目は旧約聖書の世界で有名なモーセと同じ時代(紀元前13世紀頃)に登場した、といわれています。

職業は、それぞれ天文学者、哲学者、化学者、芸術家、医学者など、あらゆる「賢者」の要素を満たすようなものであった、といいます。

 

ヘルメス文書の存在

1万年という長い期間の中で、3回転生したヘルメスは、(ヘルメス・トリスメギストスの伝承の中では)同じ人格としてこの期間になんと約3万6526冊の本を著したそうです。後年、紀元前2世紀頃のアレクサンドリアの学者であるクレメンスが、ヘルメスの膨大な著書を42冊の本にまとめています。

現在では、この編集版を「ヘルメス文書」と呼んでいますが、ここには、ヘルメス・トリスメギストスを導師として、弟子に対して天文学や哲学、化学、医学など、3代のヘルメスが培ってきた幅広い知識を授けるという形式で描かれています。これは編者であるクレメンスが創作したものではなく、あくまでも「ヘルメス文書のエッセンスを抽出した写本」との位置づけである、といいます。

このなかに、後の錬金術の分野で最重要文書といわれるようになる「エメラルド・タブレット」が含まれていました。この「錬金術の奥義書」ともいえるヘルメス文書の一部が、ヘルメスの名と、「3」という概念を合成した「ヘルメス・トリスメギストス」というキーワードの印象を決定づけたもの、と思われます。

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カテゴリ: その他

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