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日本各地に残る巨人伝説とダイダラボッチの伝承

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古代から伝わる不思議な存在には、日本のいろいろな場所、地域で伝説として遺されているものが多くあります。鬼や天狗、河童など、北は東北から南は九州、沖縄まで、名前は違っていても同じように伝えられて来ているのです。

古代の巨人ダイダラボッチも、名前は様ざまですが日本の各地にその伝承が遺っているもののひとつです。

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日本各地のダイダラボッチ

ダイダラボッチには、各地の伝承によって異なる多くの名称があります。
ダイダラボッチというのは相模国(神奈川県)や武蔵国(東京都)での呼び名で、信濃国(長野県)ではデーランボウやデーラボッチャ。上総国(千葉県)や下総国(千葉県・茨城県など)ではダイダッポ、甲斐国(山梨県)ではレイラボッチなど。そのほか、ダイタホウシやダイドウホウシ、ダダホウシなどとも呼ばれています。

むかしの日本では巨人のことを「大人(おおひと)」と呼んでいて、このオオヒトの呼び名での伝承も東北地方など各地にあります。南九州で有名なのは「大人弥五郎(おおひとやごろう)」の伝説。長崎の島原半島には「味噌五郎」という名の巨人伝説があります。

 

ダイダラボッチという呼び名の由来は?

日本各地の巨人伝説のなかでも、ダイダラボッチという呼び名やそのバリエーションと思われるものは、どうも関東地方や東海・中部地方に多いようです。これはダイダラボッチが富士山を造ったという最も有名な伝説を始め、標高の高い山が東海・中部地方にあり、また関東地方も山野が多かったからなのでしょうか。自然や山野と関係が深いと思われるダイダラボッチは、古代日本の中心地であった近畿以西よりも東日本がメッカだったようです。

それではそのダイダラボッチという名前には、どういう意味があるのでしょうか。日本の民俗学を確立した柳田國男は、「大太郎(だいだら)」が「巨人=大人(おおひと)」の意味で、それに「法師(ぼっち)」が付いたものとしています。

「太郎」というのは昔から長男に付けられた名前ですが、「大」が加わることによってそれ以上に神聖視した名前ではないかと柳田國男は考えています。つまりダイダラとは “神聖な巨人”ということでしょうか。

また「法師(ぼっち)」は江戸時代後期の戯作者である柳亭種彦によると、とても小さな「一寸法師」の反対で大きな「法師」と呼んだものなのだそうです。ちなみに「ひとりぼっち」という言い方がありますがこれは「独法師」と書き、この「ぼっち」もダイダラボッチのボッチと同じ漢字で、その語源は宗派を離脱してどこにも属さない法師のことだと言われています。

ダイダラボッチや一寸法師にしても、ごく普通の人とは違う存在を「ぼっち」で表していたのかも知れません。

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カテゴリ: その他

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