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狼男伝説の始まりは創作か実在する概念か…満月には何かが起こる?

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普段は普通の人間の男性なのに、満月の夜になると突然全身毛で覆われ、顔も体も狼そのものになってしまうという「狼男伝説」は、世界中で余りにも有名なお話です。映画の世界でも、1941年のアメリカ映画「狼男」や、そのリメイクである2010年の「ウルフマン」、新約聖書の「獣の数字(666)」をモチーフにした1976年のアメリカ映画「オーメン(この場合は犬)」など、たくさんの作品が作られています。「狼男伝説」は、どのように広まっていったのでしょうか。

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狼男伝説の由来

「狼男伝説」は、旧約聖書やギリシャ神話で既に触れられており、歴史としては非常に古い概念です。狼の他にも「獣人」は古くから描かれていて、エジプトのスフィンクスや、ギリシャ神話のミノタウロスなどが有名です。また中世のキリスト教では、15世紀頃にさかんにおこなわれていた魔女裁判(当時宗教的背教者を「魔女」という概念にくくって迫害していたそうです)とあわせて、重罪をおかした人を「狼」と呼んで刑を受けさせていた、という記録も残っています。

 

なぜ満月の夜なのか

この刑罰は7年から9年継続しておこなわれたといわれ、その間は狼の扮装をさせたうえ、人里離れた森に追放されていたそうです。その後、その罪人の姿を装って物乞いをするような人もあらわれたため、「罪人やそれを模倣した人たちが人里に下りてきて、略奪や騒乱などの問題行動をおこしたことが、狼男伝説の起源である」ともいわれています。「満月の夜に変身する」という伝承については、先に述べた古い物語や著書の中で「満月だけではなくさまざまな満ち欠けにあわせて変身する」という説も語られており、いろいろな時代に創作されたのではないか、と言う説が有力です。

 

医学的には妄想扱い

医学的根拠の研究も実施されていて、15世紀頃にはライ麦がかかる病気である麦角病(麦角アルカロイドという毒から発症するとのこと)が狼男の根拠として語られていたそうです。この菌を含有したライ麦を人が食べると、手足の麻痺や錯乱などの症状が出ることから、感染した人間を「狼男」として誤認した可能性があるとのことです。近年になって解釈は変わっていき、精神医学的には妄想(人狼症、狼に変身すると思い込んでしまうという症状)として扱われています。いずれにせよ「狼男伝説」は、古くからいわれているようにこれらの根拠を持って人々に広まっていき、現代においても「狼に変わってしまうという妄想」を持つ人を生み出すに至っているところから、単なる「想像上のモンスター」ではなく、ある意味「実在する概念である」ということができそうです。

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カテゴリ: その他

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