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神鳥ガルダの存在に見るアジア各国の宗教と文化

ガルーダ
 
インド神話に登場する、光り輝く神鳥ガルダは、その神聖さゆえに、アジア圏の各国の宗教や文化ともつながりが深い存在です。インド神話自体は特にバラモン教やヒンドゥー教によって伝えられているものですが、神鳥ガルダの伝承は、仏教にも波及しています。

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ヒンドゥー教の神との関連

ヒンドゥー教の信者は全世界で9億人程度存在しているとされていて、その信者の大半はインド人である(8億人以上)といわれ、キリスト教、イスラム教についで、世界第3の規模の宗教として知られています。ヒンドゥー教の神といえば、シヴァ神(青い肌を持つ男性または両性神)やガネーシャ神(体が人間で頭が象の、男性の象頭神)が有名ですが、ガルダはヴィシュヌ神(腕を4本もつという男性神で、ヒンドゥーの3大神のひとり)のヴァーハナ(乗り物)として伝えられています。ヒンドゥー神は、位が高いほど独自のヴァーハナを持っているといわれ、ガルダはシヴァ神のヴァーハナである聖牛ナンディンと同格扱いとなっています。

 

仏教の中のガルダ

ヒンドゥー教の神のヴァーハナであるガルダですが、実は仏教の物語の中にも登場しています。もっともその名称は「迦楼羅天(かるらてん)」という名称で、「前身がヒンドゥー教のガルダである」、といわれています。ガルダをベースにしているため、その姿はガルダ同様に鳥である、とされています。こちらは仏教の世界で「仏法守護の聖鳥」とされていて、金色の炎を吹く、といいます。ちなみにヴィシュヌ神も仏教の世界にも存在していて、「那羅延天(ならえんてん)」とい名称となっています。別々の宗教なのに同じ神やヴァーハナが存在していることの原因として、インドにおけるヒンドゥー教発祥の時代背景があります。ヒンドゥー教は、もとは古くからインドに根付いていたバラモン教をルーツとしていて、バラモン教全盛の時代に仏教が登場、台頭していく中で、一時期衰退しつつあったバラモン教が今度は逆に仏教に対抗する形でヒンドゥー教として復活した、という経緯があります。

 

インド以外でもヒンドゥー教の神鳥ガルダが信仰される理由

現在インド人にヒンドゥー教徒が多いことは前述のとおりですが、神鳥ガルダがインド以外に国々でも神聖な存在として位置づけられていることの理由は、「インドにおいて仏教は最終的にヒンドゥー教に取り込まれる形になったが、それ以前に東南アジアにガルダの原型は存在していた」ことがあげられます。インドでは「ヴィシュヌ神の生まれ変わりが仏陀である」、とされています(これは、仏教文化としての「神より人間が大事」という考え方が、インド社会に根付かなかったことに起因しているようです)。インド近隣のイスラム教国インドネシアの航空会社の名称がガルーダであったり、仏教国であるタイの国章がガルダであったりする理由のもとになっているのは、インドを含む東南アジア諸国における、複雑な宗教発展事情においても揺るがなかった「ガルダや古い神々への信仰」にあったのではないか、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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