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サイコメトリーとメスメリズム:完全否定されたメスメル氏の研究

サイコメトリー

 

サイコメトリーの概念を、アメリカの医師ジョセフ・ローデス・ブキャナン氏が発見した背景として、同じくフランスの医師であったフランツ・アントン・メスメル氏によって提唱されていたメスメリズムの存在があった、といわれています。
メスメリズムとは、現在でも催眠術をかけることを英語で「mesmerize(メスマライズ)」というように、催眠療法の元祖といわれていて、19世紀当時に社会的な反響をも起こしていた存在であった、といいます。

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もとは動物磁気と呼んでいた

メスメル氏は、さまざまな人間の体の不調は、地球の自転や引力など、天体の働きによって起こる潮の干満などと同じように、体内の液体の干満によって起こる、と考えました。
これをある種の磁力によって調整できれば、体の不調の根本原因を正すことになり、これによって人体の不調の治癒が実現できるのではないか、という仮説のもと、被験者に鉄を調合した薬剤を服用させ、その後磁石を使って人工的な干満を発生させる、という実験をおこなっています。

 
被験者は「体の中で液体が流れる感覚を感じた」と証言したことで、メスメル氏はこの概念を動物磁気と名付けました。この治療の概念は、その後彼の名を取ってメスメリズムと呼ばれるようになります。メスメリズムの考え方では、体内の液体の干満や、鉄や磁石の作用以上に、人間の感覚が暗示によって左右されることや、無意識の領域が大きく影響していることも、治癒の原因としてあげています。

 

 

さらに考察を進めたジェイムス・ブレイド氏

メスメル氏の研究は、当時のフランス王立科学アカデミーによって完全に否定されてしまい(「動物磁気というものは、科学的には存在しない」という見解でした)、その研究は下火になってしまうかに思われましたが、その後スコットランドの外科医で、現在では催眠療法の生みの親とされているジェイムズ・ブレイド(1795~1860年)がメスメリズムに着目し、物理的(=磁力)なものではなく、心理的なものの作用としてのメスメリズムの研究を継続させます。

 
初期の実験では、動物磁気の否定の根拠となっていた「鉄や磁石を使った実験」を実験要素から除外し、メスメル氏の実験では「人体の治癒が起こる原因のひとつの可能性」であった「暗示の力」だけで、人体が治癒することを立証しています。これこそが現代にも続く催眠療法のベースの概念であり、サイコメトリー、つまり残留思念の謎の解明にも通じるものではないか、と考えられます。

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カテゴリ: その他

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