ホープダイヤモンドは希望のダイヤ?その名前の由来とは
17世紀フランスに活躍した当時の国王である、ルイ14世の時代に端を発するホープダイヤモンドは、王家の財宝のひとつとしてルイ14世から15世、16世と引き継がれ、18世紀のフランス革命の時期に起こった、ルイ16世とその妻マリー・アントワネットの斬首刑によって、「呪いの伝説」のベースストーリーを作り上げています。しかしこの時点では、まだこの宝石に、現在の呼称であるホープダイヤモンドの名称が付与されていなかったようです。
ホープダイヤモンドという名称の由来
フランス王家に伝わるこの宝石が、ホープダイヤモンドと呼ばれるようになったのは、ずっと後年のことである、とのことです。ホープダイヤモンドが現在のように一般的に知られるきっかけとなったのは、1820~30年頃、ヘンリー・フィリップ・ホープなる人物の、宝石コレクションに名を連ねたことに由来するようです(このことから、ホープダイヤモンドにまつわる「呪いの伝説」は、「あとづけのこじつけではないか」、とする説も存在しています)。ホープ氏が所有するコレクションのダイヤモンドであったがゆえに、「ホープダイヤモンド」、という呼称が通称となったようです。
ダイヤ入手のいきさつ
英語のhopeから、「希望のダイヤモンド」などと訳されることもあるようですが、実際にはヘンリー・フィリップ・ホープ氏の入手以来、4代に渡ってこの宝石を所有し続けたホープ一族に由来している、といえそうです。ホープ氏は1830年頃に、イギリスはロンドンで競売に出されていたこの宝石を競り落として入手した、とのことです。銀行家にして富豪でもあったホープ氏の一族は、この宝石を入手した後、1896年頃には破産してしまいます。
当時からいわくつきの宝石だった?
ルイ16世の斬首刑から、1830年頃にイギリスで競売にかけられるまでのホープダイヤモンドの足取りは、記録に残っていないため、明らかにはされていません。ただし、この時点でフランス革命で一旦結論を見ることになる「ルイ家代々に続いた呪いの宝石」に関する噂は存在していたようで、ホープ氏は呪いの噂を認識しながら購入したようです。
人間には功名心という欲求があり、人並みはずれた財産を持つ人であれば、なおさら「歴史に名を残す」という欲求があるものなのですが、17世紀まで遡ることができるという「伝説の宝石」に、自らの名を冠したホープ氏は、一族の破産をかけて「歴史に名を残した」、と考えることができそうです。