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北を司る冬の四神・玄武が持つ意味・役割・姿・由来は?

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東西南北の各方位を司る、4種類の霊獣(神獣)である「四神」。東の「青龍」はその名のとおり龍で、西の「白虎」は白い虎、南の「朱雀(すざく)」は不死鳥の鳳凰と同じとされる鳥と、実在か空想かはともかくとしてそれぞれのイメージは名前から何となくつかめます。それでは北の「玄武(げんぶ)」とは何でしょうか?

玄武だけは、その名称がどんな動物を基にしているかを表していません。玄武とは、足の長い亀に蛇が絡みついた姿をしているのですが、どうして玄武という名前がついて、またどんな性質や属性をもった霊獣なのでしょう。

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黒くはっきりと見えないという名前を持つ玄武

玄武という名前の「玄」とは黒色を意味します。かぼそい糸という意味の「幺」に「なべぶたかんむり」が載せられた玄という文字は、かぼそい糸がほんの少しだけ見えるという意味で、つまりほとんど見ることができない暗闇、すべての色が見えない黒色ということになります。

玄武は、もともとは中国語で同じ音の「玄冥」という名前だったそうで、「冥」とはあの世を示す冥界や冥途の冥。冥も暗くはっきりと見えないという意味ですから、玄武=玄冥とは黒く暗くてはっきりと見えず、神界や冥界につながる霊獣であることが言えます。

ちなみに「玄武岩」という岩石がありますが、これは明治時代に日本で訳語としてつけられた名称で、そのもとは玄武岩を採掘していた兵庫県の「玄武洞」という洞窟からのものです。玄武洞の名称は、この洞窟が四神の玄武の姿に見えたことからだそうです。

 

玄武とは現世と冥界を往来する霊獣

玄武の属性は、方位は「北」、季節は「冬」で色は「黒」。「陰陽五行思想」で万物の元素を表す五行は「水」です。

ところで古代の中国や日本では「亀卜(きぼく)」という、亀の甲羅を用いて行う「亀甲占い」がありました。この占いは亀の甲羅の内側に「鑽」という四角形の穴を彫り、その四角のなかに「マチ」という線を刻んで甲羅を桜の木で焼くと、甲羅の外側に熱でひび割れができ、そのひびで吉凶を占うというものです。

古代にこの亀卜が重要だったのは、国家の方向性やその吉凶を占うものであったということです。その重要な占いになぜ亀が用いられたのかというと、北の方位を司る亀、つまり玄武=玄冥が、北方にある冥界と現世を行き来してつなぐという役割を持っているからでした。ですから亀卜とは、現世からの問いに対して冥界からの神託を受取る行為であり、亀がそのメッセンジャーとなったということです。

このように、玄武は現世と冥界とを往来できるという、四神のなかでも特別の属性をもった霊獣だったわけです。

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