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バビロンの空中庭園…乾燥地帯に維持された巨大な緑と花の空間の謎

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紀元前2世紀頃にビザンチウム出身のフィロンが提唱している「世界の七不思議」のひとつ、バビロンの空中庭園は、古代バビロニア全体の遺跡調査の一環として、1899年頃から現在のイラクはバグダッド周辺を中心に調査研究が続けられていますが、空中庭園自体の建造物は見つかっておらず、現在はその遺構と思われるものが見つかっているのみです。しかし、当時見聞して記録されたと思われる文献はいくつか残っていて、前述のフィロンの著書にもその斬新な技術の一端が記されています。

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シュロの木と簡易ポンプの組み合わせで、砂漠のオアシスを実現

空中庭園は、今となっては正確な高さや大きさは知る由もないのですが、現代の都市部のビル程度の大きさがあったようで、さらに植物を植えたバルコニーが5階層で階段状に積み上げられた形状をしていた、と考えられています。このため、高層部への水の供給方法に工夫がなされているようで、まず梁の素材としては、腐らないシュロの木が使われています。また、シュロの木の「水を含むと徐々に弓なりに反る」ことを考慮した設置をおこなったうえで、各階層に植えた植物の根がうまく根付くようなスペースを作り出しています。

 

各階層には大量の土も敷き詰められていた

また、各階層のシュロの木の上には、大量の土が敷き詰められ、シュロの木の特性を活かした水の提供に加えて、植物を枯れさせないような環境つくりがなされていたようです。水の共有の仕組みに加え、基礎や土台をしっかり作りこんでいたようで、各階層部分は、人が歩いてもびくともしない頑丈なものだった、との記録も残っています。シュロの木は、現代でも南国のイメージなどでよく使われる、椰子科の大型の植物で、耐火性、耐潮性ももっている、といわれています。

 

貯水池が下部に常設されていた?

水の供給を考慮した素材選び、植物を絶やさない環境つくりに加えて、さらに水を確保するための当時としての最新技術も組み入れられていたようです。砂漠地区であるバビロンで水を確保するために、空中庭園の土台部分に貯水池をつくり、地面の傾斜などを利用して常に水を貯めるような施設を作っていた、とのことです。貯めた水は、滑車を使って桶状のものを循環させることで、空中庭園の高層階にも行き渡らせることができていたようです。このように、バビロンの空中庭園は、砂漠のオアシスとしての珍しさや荘厳さに加えて、当時の建築技術の粋を結集して、現代における都市部の緑化計画にも通じるようなコンセプトを持って建設されたのではないか、と考えられます。

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カテゴリ: その他

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