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【第5回】アンコールワットを擁するカンボジアという国(後編)

アンコールワット

 

アンコール王朝の遺跡であるアンコール遺跡には、世界的に有名な建造物であるアンコールワットが存在し、日本からも多くの観光客が訪れていますが、カンボジアという国(正式名はカンボジア王国)自体は、日本ではあまり知られていません。
ASEAN加盟国であり、人口約1500万人、国土は約18万平方キロメートルといいますから、日本と比較すると、人口はおよそ日本の10分の1余り、面積はおよそ半分、という規模になります。

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カンボジアのルーツはクメール王朝

カンボジア地域のルーツは、9世紀初頭に成立したクメール王朝(アンコール王朝とも呼ばれます)で、12世紀から13世紀の最盛期に、アンコールワットを含むアンコール遺跡として残っている建造物の多くが作られています。
その後16世紀以降に、キリスト教宣教師やポルトガルの商人といった西洋人がこの地を訪れ、ついで来訪したスペイン人やオランダ人、そして最終的にこの地を植民地化(保護国化とも表現されています)フランス人が訪れるようになります。

 
1863年当時には、フランス領インドシナの一部に加えられていますが、フランス保護下においても、王国の形態は存続していたようで、シソワット王(1904年)やシソワット・モニヴォン王(1927年)といった独自の王が即位しています。
フランスの保護国時代から、独立、内戦を経て、現在に至っています。

 

 

国境は仏教

カンボジアの国教は仏教とされていますが、宗教選択の自由は存在し、仏教の他にも、イスラム教、キリスト教、土着のアミニズムも存在しています。
国境である仏教は、厳密には上座部仏教といって、日本の大乗仏教とは思想が異なります(上座部仏教の特色の一例として、大乗仏教の「信ずるものは救われる」に対して、上座部仏教は「生きることは苦しみであり、出家して功徳を積んだものだけが救われる」、といった出家主義をとっています)。

 
この上座部仏教と並んで、ネアック・ターというアニミズム(土地や祖先を敬う、一種の精霊崇拝)も根付いていて、カンボジアの上座部仏教とアミニズムは、いわば日本における神社や氏神様、祖先を敬う風習と、寺院の並立と同様の関係である、といえそうです。

 

 

アンコールワットの神秘性の秘密

宗教的な背景として、現在主流の上座部仏教と、アンコール王朝時代のヒンドゥー教の名残が渾然一体となったものが、アンコールワットの現在の姿、といえます。
こういった国や宗教を背景に、アンコールワットは、ユニークな神秘性を持ち続けている、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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