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王家の谷の岩窟墓は古代エジプトだけのもの?類似例を探せ!

王家の谷
 
古代エジプトの王達の集団墓地である王家の谷は、およそ60基もの王の墓が作られていますが、その作りは独特で、ピラミッドに似た尖った形状のエル・クルン山を背景に、石灰岩でできた岩山を削って横穴を掘って墓を作りこんでいます。こういった形状の墓は、古代エジプト独特のものなのでしょうか。

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紀元前8世紀頃のイタリア半島にも

岩窟墓は、実は世界の別の遺跡でも確認されています。イタリア半島に紀元前8世紀頃に存在した、地中海のエトルリアという都市国家群において、王家の谷と同じように、岩肌をくりぬいて作った墓が密集しているという遺跡が確認されています。こちらは学術的には摩崖墓とも呼ばれていて、エジプトの王家の谷に見られるような半ば統一的な形ではなく、神殿をかたどったものや、ただ穴の形に岩をくりぬいたものまで、さまざまな形状をしているところが特徴です。ここでは、地層の色の違いや、凝灰岩と周辺の植物との色のコントラストを意識したような、色彩表現豊かな建造物が作成されていて、観光地としてもよく知られています。

 

トルコはフェティエの岩窟墓

他にも、トルコ南西部のフェティエにある、古代都市テルメッソスの遺跡にも岩窟墓が見られます。こちらは、切り立った崖のような形状の岩に、ギリシャによく見られるような神殿を思わせる建造物を掘り込んだような岩窟墓です。紀元前4世紀のリキア王の墓とされています。周辺には、古代ローマ時代に作られたとされている劇場の遺跡など、テルメッソスの文化を現在に伝えるような遺跡が残されています。こちらも、気候のよいシーズンには、多くの観光客で賑わいます。

 

日本にも存在している岩窟墓

岩窟墓は、日本でも発見されています。南房総、千葉県の館山市沼にある大寺院岩窟墓が該当します。こちらはエジプトやトルコの岩窟墓よりもかなり新しいもので、5世紀頃に作られたもの、とされています。当地にある総持院(真言宗の寺で、「沼の大寺」という通称を持っています)の裏山にある大寺山の中腹付近にできた海食洞穴(海の波の浸食作用によってできたくぼみ、穴)を使って作られたこの岩窟墓では、木でできた舟棺や、武具や刀剣、装飾品などが多数発見されています。かつてこの地では、死者を送る葬送儀礼をおこなう際に、海食洞穴を利用していたことがうかがえますが、エジプトやトルコと同様に、岩をくりぬいてできた穴を使って死者を葬送するという風習が、日本でも確認されていることは、非常に興味深いところです。

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カテゴリ: その他

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