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透視能力者三田光一氏の「月の裏側の念写実験」

ヴォイニック写本
 
明治末期に東大助教授であった福来友吉氏は、超能力の一種である念写の概念を発見した人物として知られ、映画『リング』のモチーフにもなった御船千鶴子氏や長尾郁子氏、高橋貞子氏らの透視実験、念写実験を主導しておこなっています。

しかし、1915年頃には「実験題材が東大教授としてふさわしくない」との理由で東大を追放されています。それでも彼は、以降も超能力に関する研究を精力的に続けていました。後年の代表的な研究のひとつに、三田光一氏の「月の裏側の念写実験」があります。

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福来心理学研究所の設立

福来博士は、東大追放後(公には休職扱いとのことです)も、仙台市青葉区に福来心理学研究所を設立し、高野山大学教授としての活動と並行して、超能力研究を継続しました。

当時博士のもとに、日本中から「自称超能力者」からの申告が数多く寄せられたのですが、博士はそのなかのひとりである三田光一という人物に注目し、超能力の育成をおこなっています。

1931年と1933年には、福来博士の出身地である岐阜県で、当時としては異例ともいえる題材による念写実験をおこなっています。それが「月の裏側の念写実験」です。

 

リアルタイムでは検証できなかった実験結果

月の裏側の画像といえば、1960~1970年代にかけてアメリカ航空宇宙局主導でおこなわれた「アポロ計画」以前には、一般的にはまったく知られていなかったものであり、三田光一氏の念写結果について、リアルタイムでその真偽を検証することは不可能であった、といいます。

アポロ計画以降、月の裏側とされる画像が公開されますが、三田氏の念写結果とはかなり異なっているようで、実物にはない海が念写結果には存在したり、星の位置がまったく違っていたりした、とのことです。

さらに、三田氏が月の裏側の念写をおこなう以前の1918年頃に、フィルムのすり替えをおこなったトリックをおこなっていたことが発覚したこともあり、三田氏の月の裏側の画像は、現在では「科学的な価値は皆無である」とされています。

 

後年の検証で判明した「類似点」

一方で、1990年代に入ってから、三田氏の念写結果とNASAの発表した月の裏側の画像との学術的検証がおこなわれた際に、「全体の7~8割程度、相関している部分がある」、との発表もなされています。しかし三田氏がもともと手品師や宗教家として活動していたという過去や、彼が実施したという超能力関連の現象のいくつかに、トリックによる実施の疑念があることなどが指摘されています。

このように、彼の念写実験は「100%事実である」とは言い切れないことと同様に、「100%事実である」とも断言できないものである、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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