> >

火の精霊サラマンダーは古代世界の東西の火の精霊

サラマンダー

「四大精霊」のひとつで火の精霊のサラマンダーは、古代ギリシャでは小型のドラゴンと考えられていましたが、ケルト人や古代デンマークのデーン人、アングロ・サクソン人の伝承や物語に出て来るドラゴン「ファイアー・ドレイク」は、しばしばサラマンダーと同一視されました。

空を飛翔し口から火を吐くドラゴンのイメージは、まさにこのファイアー・ドレイクの姿で、その名前のとおり「火の龍」だったのです。

スポンサードリンク

 

 

火をまとい空を駈けるファイアー・ドラゴン

ファイアー・ドレイクはイギリス諸島や北ヨーロッパの山の中の洞窟に棲んでいたといわれています。その洞窟には財宝があってファイアー・ドレイクはそれを護り、財宝に近づく者を襲ったのだそうです。宝玉を追って空を駈ける東洋の龍のように、ドラゴンや龍が財宝と縁があるのは世界共通の伝承だということです。

ファイアー・ドレイクは火を吐くだけでなく、溶岩やマグマの中を水中を泳ぐように移動し、またその全身に火をまとって空を飛んだともいわれます。

このドラゴンが現れると辺り一帯は昼のように明るく照らされ、曇った空に不思議な光が走るのはファイアー・ドレイクが空を飛翔している様子だともされました。現代ならUFOかもと言うところですが、古代や中世ではこのような現象を見るとまずドラゴンと思ったのでしょうか。

 

 

日本の火の精霊カグツチ

日本で最も有名な龍(蛇龍)というと、古事記や日本書紀に登場するヤマタノオロチでしょうか。ヤマタノオロチは河川の氾濫と関係が深いとされ、火と言うよりは水なのですが、このヤマタノオロチの語尾の「チ」とは、じつは精霊を表すとされています。

「チ」とは自然の万物に宿る霊力のことで、すなわち精霊であり古来からの「国津神」でもあります。日本では精霊と神との境目はなかったのです。

それでは日本の火の精霊はというと、やはり古事記や日本書紀に登場する「カグツチ(火之迦具土神)」がいます。この神(精霊)は日本の国土を造ったイザナギとイザナミとの間に生まれたのですが、火の神であったためにイザナミの陰部を焼いてしまい、それによりイザナミは死に、怒ったイザナギによって十束剣(とつかのつるぎ)で殺されてしまったとされます。

記紀神話ではこのように殺されてしまうのですが、カグツチは火を司る精霊=神として鍛冶の神や火除けの神、また温泉の神としても祀られることになります。
ヨーロッパの火の精霊サラマンダーが、火を操り征するもの、また錬金術において重要な火を司る精霊として重要視されたことと、カグツチとはどこか共通性があるのかも知れません。

このエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサードリンク
スポンサードリンク

Comments are closed.