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火の精霊サラマンダー。古代ギリシャから伝わる精霊

サラマンダー

16世紀のヨーロッパで、火、水、空気(風)、土の「四大元素」を司る「四大精霊」がいると提唱したのは、錬金術師で医師、化学者で神秘思想家のパラケルススという人でした。
この四大精霊のうち、火の精霊は「サラマンダー」という名前で呼ばれています。

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サラマンダーはサンショウウオ?

サラマンダーとは何なのでしょうか。じつは現実のサラマンダーとは、実際に地球上に生息する両生類のうち有尾類の生物のことなのです。

日本では、この生き物のサラマンダーを「サンショウウオ」とすることが多いようですが、実際にはイモリの仲間も区別しないでサラマンダーと呼ばれるのだそうで、“火蜥蜴”と称される「ファイアーサラマンダー」は体長15cmから25cmくらいのイモリ科の生物です。
それではこの生き物のサラマンダーが、どうして火の精霊になったのでしょうか。

 

 

火のドラゴン・サラマンダー

古代ギリシャでは、サラマンダーは小型のドラゴンに近い爬虫類であると考えられていました。ドラゴン(龍)は洋の東西を問わず、火や風、水など四大元素を操る存在なのですが、口から火を吐くドラゴンといったように、火とは特に関係性が近かったのかも知れません。

特にサラマンダーは火の中でも生きることができるとされ、古代ギリシャ人やその哲学と魔術的思想を受け継いだヨーロッパの錬金術師たちは、サラマンダーを火の元素とイコールに考えるようになりました。

一方で北の古代ヨーロッパ、ケルト人やチュートン人、デーン人の伝承に登場する火を吐くドラゴン「ファイアー・ドレイク」も、溶岩やマグマの中を泳ぐことができ、火の精霊と同一視されていたそうですから、古代世界では火の元素の象徴であるドラゴンが、やがて実在するサラマンダーという生き物を象徴的に捉えていったのかも知れません。

 

 

サラマンダーは火を操る存在??

先ほどご紹介した実際にヨーロッパに生息するファイアーサラマンダーは、決して火の中でも平然と活動できるというわけではなく、また黒と黄色の皮膚の身体が火のように真っ赤になるというわけでもありません。

なぜこういう名前がついたのかというと、ファイアーサラマンダーは中が空洞になった樹木の丸太の中で冬眠するという習性があり、人間がその丸太を焚き火などで火にくべるとファイアーサラマンダーが慌てて這い出し、その様子がまるで火の中から出て来たように見えたからだということです。

後にパラケルススは、サラマンダーを含めた四大精霊はそれぞれ人間の姿に似ていて、話し方や振る舞いも人間に近いとしています。しかしそれよりも遥か古代のギリシャでは、例えば哲学者のアリストテレスがサラマンダーとは「火の中でも燃えない動物」であり「火の中を歩いて、火を消す」とも言っていて、火を怖れる古代世界の人びとにとってサラマンダーは火を操る存在と認識していたのでした。

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