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邪馬台国論争~九州?畿内?邪馬台国はどこにあったのか

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邪馬台国の最大の謎とされているのが、この国がどこにあったのかはっきりとわかっていないということです。それが、現在も続いている「邪馬台国論争」なのです。

邪馬台国の存在が記述された魏志倭人伝には、朝鮮半島から倭人の住む国々、そして邪馬台国へと至る道程が記されています。しかしその道程を記されている通りの距離や方角、旅の日程で辿って行くと、邪馬台国は日本を抜けて太平洋のなかにあるということになってしまうのです。

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そこから様々な解釈が生まれ、数多くの説が生まれることとなりました。その説は大きく分けると、邪馬台国は九州にあったという「九州説」と、その後の大和政権、朝廷の中心地につながる「畿内説」の2つであり、いまだにその決着はついてはいません。

 

江戸時代に始まった邪馬台国論争

邪馬台国がどこにあったのかをめぐる論争は、江戸時代に始まりました。
江戸時代中期の学者である新井白石は『古史通或問』という書物で、魏志倭人伝に記された邪馬台国に至るまでの倭人の住む国々を、実在の地名に初めて当てはめました。それは現在でも、ほぼそうだろうと考えられています。そして肝心の邪馬台国は大和の国(奈良県)であるとしました。つまり畿内説です。しかし別に著した『外国之事調書』という書物では、筑紫の国(福岡県)の山門郡(やまとぐん)として「九州説」を唱えたのです。

ちなみに邪馬台国の読み方は、現在は一般的に「やまたいこく」と読まれることが多いのですが、邪馬台を「やまと」という読み方として畿内と九州の2つの「やまと」をその場所と考えたのです。この邪馬台がなんという読み方なのか、その本当の文字は何なのかも含めて、そこにも謎や論争があるのですが今は置いておくことにしましょう。

いずれにしろ、邪馬台国がどこにあったのかという現在に続く論争の出発点は、この2つの説を提示した新井白石から始まりました。その後の江戸時代の国学者である本居宣長も邪馬台国を研究しましたが、彼は魏志倭人伝の道程を恣意的に解釈して邪馬台国は筑紫の国にあったとしました。

 

魏志倭人伝に記された邪馬台国への道程

それでは、魏志倭人伝に記述された邪馬台国への道程は、具体的にはどんなものなのでしょうか。

まず出発点は、当時は魏の領土であった朝鮮半島の「郡」とされていて、これは朝鮮中西部の「帯方郡」(現在のソウル辺り)であると考えられています。ここから水行して(水の上を船で行って)、「韓国」を経て「狗邪韓国(くやかんこく)」に至ります。ここまで7千里余り。そこから初めて海を渡って千里余り、「対海国(つまこく)」に至ります。対海国は対馬と考えられています。さらに南に海を渡って千里余り、「一大国(一支国?/いきこく)」に至ります。これは壱岐のことと考えられています。

また海を渡って千里余り、「末盧国(まつらこく)」に至ります。この末盧国は、現在の長崎県と佐賀県にまたがる松浦(古くは末羅)地方のことと考えられ、ここで九州に上陸します。そこから東南に陸行して500里で、「伊都国(いとこく)」に至ります。伊都国は、福岡県糸島市三雲を中心とした糸島平野が有力と考えられています。

さらに東南に100里で、「奴国(なこく)」に至ります。奴国は、古墳時代から飛鳥時代に現在の福岡市付近に存在した、「儺県(なのあがた)」のことだと考えられています。そこから東に100里で、「不弥国(ふみこく)」に至ります。このあたりから、どこにあった国なのかが怪しくなっていくのですが、名称から現在の福岡県糟屋郡宇美町ではないかと考えられています。

 

邪馬台国に至る謎の道程

不弥国から南に水行して20日で、「投馬国(つまこく、とまこく)」に至ります。この投馬国からが完全に謎なのです。仮に不弥国を宇美町とすると、そこは内陸部で大きな川も近辺になく、20日という行程もよくわかりません。もし海などに出て20日間も南の方角に行くと、九州を出て遥か南の海上ということになってしまいます。

九州説では日向の国(宮崎県)の都萬(つま/現在の西都市妻地区)や薩摩の国なども考えられており、畿内説では南ではなく東に瀬戸内海を行ったとし、備後の国(広島県)の鞆(とも)とする説などがあります。また、日本海を行って出雲の国や丹後の国などとする説もあります。

さてこの投馬国から南に水行10日、陸行1ヶ月でようやく邪馬台国に至ると魏志倭人伝は記しています。それに従えば、邪馬台国はまさに太平洋のど真ん中にあることになってしまいます。このように魏志倭人伝の記述に従う限り、邪馬台国の位置はまったくわからなくなり、その存在場所の謎をめぐる論争は現在も続いているのです。

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