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火の神ロキ – 巨人の国をトールと冒険

ラグナロク

日本では、ワーグナーの歌劇「ニーベルングの指環」での訳語にちなんで、「神々の黄昏」との意味づけを持って語られている、ラグナロクを引き起こした張本人とされる火の神ロキは、北欧神話の主神であるオーディンの義兄弟であるとともに、雷神トールの最も仲の良い神としても、北欧神話の中で異彩を放っていました。

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トールと巨人の国を冒険する

ロキは、北欧神話の序盤において、悪戯好きであるとともに、狡猾で嘘つきな神として描かれていますが、雷神トールとは特に仲が良く、自身の出身一族である巨人族の国を、一緒に冒険したりしています(冒険の様子は、北欧神話を描いた代表的な文書のひとつである「古エッダ」のエピソードである「ギュルヴィたぶらかし」や、13世紀以前に北欧神話を描いた文書群である「小エッダ」にでてくる「トール賛歌」などで活写されています。

ちなみに「ソール賛歌」は、北欧神話のエピソードを数多く含んでいる「小エッダ」の中でも、特に希少価値を持っている「スカルド詩」のひとつでもあります)。
また、その性格から、神々の居住場所であるアースガルズにおいて、多くの面倒を引き起こしていた反面、彼以外の何らかを起因として引き起こされた神々の問題を、持ち前の器用さで次々と解決する、といった一面も持っていました。

巨人族の国をトールと一緒に冒険した際にも、その狡猾さを利用して、何度もトールを窮地から救った、といいます。

 

 

バルドルの殺害

古エッダの「ギュルヴィたぶらかし」では、その悪辣な性格を活用し、オーディンの息子でバルドルの弟であるヘズをだまして、ヘズの兄弟でかつ善神であったバルドルを殺害させて、ラグナロクを引き起こす重大なきっかけを作っています。

さらにロキは、老婆セックに変身して、バルドルが死後に復活しないように仕向けた、といいます。狡猾な性格はその後も暴走し、神々の宴に乱入しては、参画している神々の過去の過ちや恥辱的なエピソードをひとつひとつ暴き立てる、という暴挙にも出ています。

しかしその結果ついにロキは神々に捕らえられ、自らの息子であるナリ(古ノルド語で「ぐずぐずするもの」という意味を持ちます)の腸で縛られたうえ、洞穴に幽閉されてしまいます。幽閉場所には蛇の毒が滴り落ちていて、ロキは死の淵に何度も立たされていたようですが、蛇の毒が落ちることを彼の妻のシギュンが(器を抱えて)常に抑止していました。

しかし、彼女が器の中の毒を捨てるために走って移動するとき、わずかに蛇の毒がこぼれるタイミングがあり、その際にロキの頭に毒液がかかってしまうことがあったのですが、ロキはその度にあまりの苦痛に叫び声をあげて身をよじった、といいます。

北欧神話では、このことが現在の地震のルーツである、と述べています。

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カテゴリ: その他

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