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光の神バルドルの謀殺。ラグナロクのきっかけ

ラグナロク

ラグナロク(北欧神話の最終戦争)を引き起こす、おおもとのきっかけとなったのは、悪戯好きにして狡猾、のちのキリスト教におけるサタン(=悪魔)のキャラクターを彷彿とさせる神であるロキが、悪魔に対する天使のような、絵に描いたがごとき「善的存在」である光の神バルドルを謀殺する、という事件でした。
この事件は、古エッダの中の「バルドルの夢」という小編で説明されていて、バルドルの父であるオーディンが、巫女に語らせたところの予言が、のちのラグナロクの枠組みを予感させるものであった、とのことです。

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さまざまな観点で語られるバルドルの運命

光の神バルドルが、ロキに殺されてしまう(直接的に手を下したのはロキではなく、ロキにそそのかされたヘズという神です)というエピソードは、古エッダでは「巫女の予言」として描かれていますが、「新エッダ」の中の「ギュルヴィたぶらかし(別名「スノッリのエッダ」の三部構成のうちの第一部にあたる節で、当時のスウェーデンの王であるギュルヴィと、北欧神話の主神であるオーディンとの会話、質疑応答という形式で、世界が創造されるところから、最終戦争によって滅亡に至るまでが説明されていて、ラグナロクを含む北欧神話のストーリーの大部分がカバーされている、といいます)」では、バルドルが悪夢を見るようになった後に心配したのは父オーディンではなく母フリッグであり、神の威厳を使って、万物(世界中の生き物や、生き物以外のあらゆるもの)がバルドルを傷つけることがないよう図らった、としています。

その結果、いかなる武器を持ってしても、バルドルを傷つけることが誰にもできなくなりました。しかしこの世の事象の中でたったひとつ、ヤドリギという存在だけは、若すぎたが故に「バルドルを傷つけない」という約束、契約ができなかった、といいます。

 

 

たったひとつの例外から殺されてしまう

母の施しは、逆にバルドルを他の神々の好奇や無用な娯楽(バルドルが傷つかないことを知った神々が、バルドルにものを投げつけるといった行動に出たことを指します)を生むことになり、さらには巨人族の血族で、バルドルの父オーディンの義兄弟であるロキが、バルドルの兄弟でなおかつ盲目という宿命を負っていたヘズを言葉巧みにたぶらかして(ヘズはバルドルの兄弟であり、盲目であったこともあって、バルドルにものを投げつけるという遊戯には参加していませんでした)、先に述べたバルドルを傷つけるための唯一の例外であったヤドリギをバルドルに投げつけて、バルドルを殺害してしまうのです。

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カテゴリ: その他

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