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魔術と錬金術…似て非なる概念の融合と分岐

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魔術と錬金術。中世ヨーロッパにおいて、三十年戦争という国際紛争にまで拡大したふたつの概念は、もとをただせば「似て非なるもの」でした。

前者は占いや預言といった「原始的」なものとして太古の昔から脈々と受け継がれていたことに対し、後者はより現実的具体的なアプローチで世の中の人々の多くが考える願望(つまり人間の根源的な欲求であり、不老不死や、卑金属の貴金属化など)を何とか立証しようとする活動で、いわば「近代的」ともいえるものでした。

ここでは、魔術と錬金術の融合と分岐を、改めて考察していきます。

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キリスト教の宗教改革以前と以後

両者の比較や融合、長い期間をかけた分岐の動きを追っていくと、もっとも両者が接近していたとされる中世ヨーロッパ時代(17世紀頃前後)に、ヨーロッパを中心とした当時の人々によって、概念的な融合が図られていたことがわかります。

この時期は、既に世界的な宗教としての地位を確立しつつあったキリスト教の諸教派の分派の動きと一致します。

初期キリスト教(西暦はイエス・キリストが生まれたといわれている年の翌年からスタートしています)は、11世紀頃の東西分派以降、何回かの分派(一般的にはカトリックとプロテスタントの分離が大きな出来事として知られています)を繰り返しており、中でも16世紀頃の宗教改革のおける革新はかなり規模の大きなものでした。

キリスト教以前に主流であった原始的な宗教を魔術とするならば、キリスト教の宗教改革以降に錬金術が生まれ、魔術との融合と分岐がおこなわれたことは、興味深い事実です。

 

多くの秘密結社が結成される

この時期、魔術と錬金術が融合し、多くの秘密結社(一般的にはその存在が秘匿されているという団体)が結成され、その後現在に至るまで、伝説な存在として語り継がれています。

今も存在しているというフリーメーソンをはじめとして、クー・クラックス・クラン、イルミナティ、黄金の夜明け団、銀の星団、薔薇十字団など、中世よりもずっと後年に結成されたものも数多くありますが、結成そのものや象徴的な概念の構築は、16世紀前後の中世ヨーロッパの時期におこなわれているようです。

今でも世界三大宗教に数えられているキリスト教の大きな分派と秘密結社の結成、錬金術の誕生と魔術との融合などがほぼ同時期に集中していることは、魔術と錬金術の歩みや現代社会における両者の現況を考えるうえで、大きなヒントになるのではないかと思われます。

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カテゴリ: その他

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