人間離れした謎の民、シュメール人宇宙人説を考察する!
紀元前3800年頃から古代メソポタミアの地に台頭し始めたシュメール人ですが、その出自ははっきりしておらず、紀元前500年頃に古代ペルシア帝国の台頭によって滅んでしまうまで、一定期間勢力を誇っていました。
シュメール人の正体については、世界各地の一神教における神に例えられたり、はたまた地球外生命体=いわゆる宇宙人として取り扱われたり、未確認かつ神秘系の存在として語られることが多くなっています。大きな黒い目を持つというシュメール人は、本当に宇宙人だったのでしょうか。
彫像から受ける印象は確かに宇宙人!
シュメール人について、当時の大規模な遺跡がほとんど残っていないにもかかわらず、彫像や絵画の類は多く残されています。特徴的な白目のない大きな黒目や、ひげ(見たイメージではガスマスクのようなものにも見えます)をたずさえた姿は、さながら当時の「素朴な人間」とはかなり異なる印象を受けます。
天文学にも精通していたようで、彼らが月の満ち欠けを利用して作成した太陰暦は、非常な精度を持っている、とされています。なんと、地球が2万5920年かかって描くという地軸の円を既に認識していたといいますから、天文学的な知識は、当時の常識をはるかに超えるものであった、と想像できます。
シュメール人がもたらした高度な技術
シュメール人の登場後、天文学だけではなく、当時の世界で初といわれている戦車(馬車式ではなく、車輪式のもの)や、やはり戦争などを主要用途として作成された船、文明で必ず生み出される文字(メソポタミア文明では楔形文字が考案されています)、金属加工(すずと同の合金の制作方法の考案)、白内障の治療など、それまでの時代には痕跡すらなかった革新的な技術が突然もたらされています。
言語の謎
もうひとつ、「シュメール人が宇宙人ではないか」とする説の根拠として、「言語的な類似性の少なさ」があげられます。
当時シュメール人が活動していたメソポタミア地方全般の各部族を見てみても、文化的なものは(戦争や征服があるため)ともかく、言語的・人種的な類似がほとんど見られません。シュメール人は、当地においてあくまでもユニーク性を保ち続ける存在であった、といえます。このことも、「シュメール人が地球外生命体ではなかったか」という説に拍車をかけています。
こういったケースでは、当時の遺跡、特に高位にあったものと思われる人物の墓の様子などで、文化や政治、文字、人種性に関してのかなりの情報を得ることができるものなのですが、シュメール人に関しては、遺跡や遺構の類がほとんど見つかっていないのです。