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『リング』小説や映画で取り上げられた念写のモチーフ

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今や日本のみならず、世界でも代表的な超能力のアイコンのひとつとされている念写が、実は日本が発祥であることはあまり知られていません。念写は明治末期の東京帝国大学助教授である福来友吉博士が「透視の研究の中で発見した概念である」とされ、博士の研究の様子は世界的に小説や映画の世界でも取り上げられています。

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原作は1991年発表のホラー小説

福来博士の念写の発見のきっかけとなったという透視実験のモチーフが使われている作品の主なものとして、1998年に公開された日本映画『リング』があげられます。この映画は、1991年に鈴木光司氏が発表した同名小説を原作としていますが、この中で、1910年頃の透視実験(千里眼事件ともいわれています)に触れられています。

作中では「山村志津子」という名称で登場している人物が、透視実験の中心人物である「御船千鶴子」に響きが近く、また、当時「千里眼能力」を持つ人々が、福来博士のもとに大勢自己申告してきているのですが、その中のひとりとされる「高橋貞子」にも、当時の事件をモチーフとしている形跡が感じられます(『リング』のメインキャラクターの名称が「貞子」です)。

 

映画はハリウッドや韓国でリメイク

『リング』は日本で映画化され、配給収入10億円超という大ヒットを記録しています。中でも、福来博士の実験の結果と同じく、渦中の人物(現実世界の「御船千鶴子」と、フィクションの世界の「山村志津子」と「貞子」)が、大衆の容赦ない批判にされされて死に見舞われるところ、そしてその怨念や超能力の概念が、現代にも脈々と受け継がれているところなど、ストーリーとしても「事実は小説より奇なり」を現しているものでした。

その後このモチーフは、1999年には韓国で、2002年にはハリウッドでリメイクされており、念写の概念や、念写にまつわる社会性、超能力を持つものの特殊性や悲哀などが、日本のみならず世界に通じる根源的普遍的な人間の感性にうったえかけるものであることを、明確に示しています。

 

念写は媒体を選ばない?

念写の概念を大胆に取り入れた作品『リング』」ですが、明治末期の実際の実験との最大の相違点は、「現実ではカメラのフイルムを使った念写であったが、小説や映画ではビデオテープであったこと」です。人が念じたものを焼き付けること、つまり念写は、そもそも一般の人間の能力を超えた能力であるが故に、記録するための媒体を選ばない、と考えられますので、今後の念写実験や報告は、DVDやUSBメモリーといった媒体にておこなわれていくことが予想されます。念写のメカニズムの完全解明が待たれるところです。

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カテゴリ: その他

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