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ギリシャ神話:羊飼いの監視役、半獣神パーンの姿が暗示するものとは

羊
 
ギリシャ神話に登場する神の多くは、男性女性共に人間の姿をしていることが多いのですが、中には半分動物の姿をしている「半獣神」といわれる神も登場しています。その姿において、もっともユニークな半獣神の一人に、パーンという神が存在しています。パーンは、現在でも使用されている英語の言葉のみならず、漢字にも影響を与えているという説もあり、意外と現代の日常生活にも関連の深いキャラクターなのです。

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パーンの語源

半獣神パーンは、羊飼いの群れを監視する神といわれています。キリスト教世界において、「羊」や「羊飼い」は、神と人間の関係性をあらわすキーワードとして多用されていますが、ギリシャ神話でもそのニュアンスでパーンという神として描かれています。語源については諸説ありますが、もとは古代ギリシャ語で、牧夫をあらわす「パオーン」といわれていたり、「すべて」という意味合いの「パン」から来ている、という説もあります。特に「パン」説のほうは、漢字にもある「汎(汎用的であることをあらわす)」にも波及しているといわれていて、東洋世界への影響している点は興味深いところです。

 

下半身は山羊

パーンの姿は、「上半身は人間、下半身は山羊の姿、山羊の角を持っている」、という非常にユニークなイメージが伝えられています。神話の物語の中で、テューポンという怪物の襲われた際には、上半身が山羊、下半身が魚という姿に変身して逃げた、というエピソードもありますので、状況に応じて多様な対応ができる点には、先ほど語源としてお話した「汎(すべて=陸でも海でも多くの領域をカバーする)」のイメージが強く感じられます。また、後世キリスト教における悪魔の姿にも酷似しているところに、西洋世界の懐の深さも感じられます。

 

パーンはパニックの語源だった?

パーンは、羊飼いとして常に笛を持っていて、笛がパーンのトレードマークにもなっています。この笛は現代の楽器の名前にも反映されていて、「パンフルート」または「パンパイプ」は、パーンの笛をイメージした名称となっています(パンフルートは、パーンが一目惚れした娘「シュリンクス」の名称で呼ばれることもあります)。「いたずら好きで陽気な性格」といわれているパーンですが、ギリシャ神話の主要なキャラクターの例に漏れず、山羊座として星座にも登場しています。それから、「予期しない出来事が起こったときに人が陥る感情」として「パニック」という言葉がありますが、先ほどお話した「パーンが襲われた際に変身して逃げた」というエピソードをベースに、「パーンのような=パニック」状態、という言葉ができた、という説があります。

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カテゴリ: その他

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