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日本全国の天狗番付~天狗の横綱、大関、関脇、小結は誰?

天狗
 
江戸時代には日本の八大天狗、「天狗経」の四十八天狗と、日本全国の多くの天狗たちの名前が知られるようになりました。それだけ天狗という不思議な神通力を持ったものたちへの関心も高くなるわけですが、関心が高くなればなったで誰が一番なのか、その地位や持っている力の順位はどうなのか、といったことも知りたくなってきます。

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その辺のところは江戸時代も現代も変わらないのですが、江戸時代には何かと順位づけが流行りました。特に相撲が江戸庶民の娯楽となったことから、相撲番付をまねて例えば江戸の料理屋、江戸の町、東西名所、全国の川、あるいは仇討ち番付まで、色々なものの順位をつけた番付が作られます。

そんななかで「天狗番付」も作られ、日本各地に棲む天狗たちの順位づけがされました。

 

西の横綱は愛宕山太郎坊だが東の横綱は?

江戸時代の天狗番付ではないのですが、後世に天狗研究の第一人者と言われた知切光歳氏(1902 – 1982)という方がまとめた「大天狗番付」があります。

この番付によると、西(西国)の横綱は日本の天狗の代表とされた山城(京都府)の「愛宕山太郎坊」です。これは誰も異存のないところでしょう。

それでは東(東国)の横綱はというと、駿河(静岡県)の「富士太郎(富士山太郎坊)」。別名を富士山陀羅尼坊とも言い、天狗経の四十八天狗には選ばれていますが、八大天狗には入っていません。ちなみに、富士山の北側を護るのが「小御嶽正真坊」という天狗で、富士太郎は南側を護る天狗とされています。この富士太郎が東の横綱に選ばれたのは、やはり日本一の山である富士山に棲む大天狗だからということでしょうか。

そして西には張出横綱がいて、これは同じく山城(京都府)の「鞍馬山僧正坊」です。義経に兵法を授けたという全国的に有名な大天狗ですから、これも妥当な順位というところです。

 

天狗の三役

大相撲で三役は大関、関脇、小結ですが、それでは天狗の三役は誰でしょうか。

まず東の三役ですが、大関は信濃(長野県)の「飯綱三郎」、関脇が相模(神奈川県)の「相模大山伯耆坊」で、小結は出羽(山形県)の「羽黒山三光坊」です。なお張出小結に上野(群馬県)の「上野妙義坊」があげられています。飯綱三郎と相模大山伯耆坊は八大天狗の一員ですし、羽黒山三光坊は日本の三大修験山のひとつである出羽三山の天狗ですから、これもうなづけるところです。

それでは西の三役はというと、大関は大和(奈良県)の「大峰前鬼」、関脇が近江(滋賀県)の「比良山次郎坊(治朗坊)」で、小結は豊前(福岡県/大分県)の「彦山豊前坊」、そして張出小結に讃岐(香川県)の「白峰相模坊」という順位になっています。こちらはすべて八大天狗が入っていて、やはり強いということですね。

そのほか有名どころでは、八大天狗または別格の天狗とされた伊予(愛媛県)の「石鎚山法起坊」が、西の前頭二枚目。江戸時代には火除けの秋葉信仰で有名だった、遠江(静岡県)の「秋葉山三尺坊」は東の前頭二枚目とされていて、それぞれ少々評価が低い気もします。しかし横綱、三役とも歴史の古い天狗たち、つまりベテラン勢がしっかりと上位を占めているので、致し方なかったのかも知れませんね。

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