ジンクスやことわざ、慣用句がシンプルな言葉で表わされる理由

 
世の中に存在しているジンクス、それから類似した概念を持っていることわざや慣用句等は、非常にシンプルな構成であることが一般的です。たとえば「二年目のジンクス」は、この短い表現の中に、「デビュー初年度である程度の実績、成功を残した場合に、２年目にはその実績を超えることは簡単ではない」ことを、さまざまな原因を包括してシンプルな表現であらわしています。

 
なぜジンクスはシンプルに表現されていることが多いのでしょうか。ここでは、「ジンクスがシンプルである理由」について考察してみます。

 

洗練されてきたジンクス

ジンクスが現在のようなシンプルな表現になっている理由として、まずあげられるのが、「非常に長い年月をかけて洗練されてきた概念であるから」ということです。もともとは物語なり、背景なりも一緒に語られてきたものが、長い期間、多くの人々のクチコミや体験の中で、エッセンスを凝縮するような形で洗練されてきたといえないでしょうか。ことわざや慣用句、広い意味では四文字熟語などにもいえることですが、広く人々に浸透してきた言葉は、ほぼ例外なく非常にシンプルです。物語などについても、構成がシンプルであったり、メッセージが非常にストレートでシンプルであったりする例が多くあります。多くの人々に伝えるため、また伝わってきたために、シンプルな形に洗練されてきた、といえそうです。

 

シンプルであることの効用

シンプルであることの効用としては、なんといっても「多くの人に伝わりやすい」というメリットがあります。シンプルであることは、時に行間にこめられたメッセージ等が曲解されてしまうようなリスクも伴いますが、優れた芸術品にもいえるように、伝えたいことがある場合には、誰にでも伝えやすい短いキーワードに落とし込んだシンプルな形であることは、大きなメリットになります。

 

シンプルイズベスト

このように、ジンクスがシンプルであることは、むしろ「メッセージを伝えるための究極の姿である」ともいえるのではないでしょうか。「シンプルイズベスト」という表現もあるように、冗長な説明を排除して、かつメッセージを正確に伝えることができて、さらに行間の解釈を聞き手に委ねることにより、さまざまな汎用性をも併せ持っているジンクスは、さながら芸術作品のような完成度を持っているのです。シンプルであること、キーワードであることは、メッセージを伝える手段としてはベストな形態であるといえそうです。