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シュメールの神々アヌンナキはどんな家に住んでいたのか?

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神様が住む場所といえば、日本では神社でしょうか。神無月(旧暦10月)に日本各地から神様たちが出雲大社にあつまるというお話のように、日本の神様は全国各地に拠点があるわけです。一方で、一神教のキリスト教の教会やイスラム教のモスクは礼拝する場所であって、神様の住むところではありませんね。

日本と同じ多神教の古代シュメールの上位の神々「アヌンナキ」は、どんなところを拠点にして住んでいたのでしょうか。

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シュメールの各都市を守護するアヌンナキの神々

ほかの記事でも触れましたが、シュメールの神でも上位の神々、特に七大神と呼ばれるアヌンナキの神々は、それぞれが天空や大地、風などといった司るを属性を持っていると同時に、都市国家の集合体であったシュメールの都市ごとに祀られる守護神でもありました。

天空の神アンは都市ウルク、風を司る神エンリルは都市ニップル、アブズと呼ばれる深淵を司る水と知恵の神エンキは都市エリドゥ、月の神ナンナは都市ウル、太陽神で正義の神のウトゥは都市シッパル、愛と戦いの女神イナンナ(イシュタル)は都市ウルク(創世神話ではバドティビラ)、大地と豊穣の女神ニンフルサグは都市ケシュとアダブと、それぞれの守護神でした。

つまり上位の神々は、シュメール各地の都市国家をそれぞれ拠点にしていたわけです。ちなみに、シュメールでは地位のそれほど高くない月の神であるナンナの都市ウルは、やがて統一されたシュメールの王権が後期にウルに移ると一躍首都になりますが、多民族の侵攻によって陥落しシュメールの滅亡という悲劇の舞台になります。

 

神様が住む家の神々の構成とは

それではシュメールの上位の神々アヌンナキは、それぞれの拠点の都市のどんなところに住んでいたのでしょうか。

ここで本来姿の見えない神々が「住んでいた」という言い方をしたのは、シュメール語では一般の人びとが住む家も、神から与えられた王権を持つ現人神とされる王の宮殿も、そして神様のいる巨大な神殿もすべて同じ言葉「エ(e)」で表現されるのだそうです。つまり、神も王も一般人もみな「エ」に住んでいたと言えるのではないでしょうか。

ですからシュメールでは、神も人間と同じように家族を持ち、家に住んでいるとみなされていました。

七大神ではありませんが、上位の神で農業と狩猟と戦闘の神であるニンギルスが、都市ラガシュの守護神として王のグデアに迎え入れられたとき、つまりニンギルスの神殿を造営して守護神として祀ったときのこと。グデア王は主神のニンギルスのほかにも、多くの神々を迎え入れました。

まずニンギルスの家族である、妻で豊穣の女神バウと子とされる2柱の神。つまり親子4柱家族というわけですね。そして神殿でニンギルスの下で働く多くの神様たち。

ニンギルスは戦闘の神でもありますから、補佐する2柱の神の将軍たちが神殿に入ります。そのほかにも、ニンギルスに人間の王からの奏上の言葉を伝える伝奏役の神や供物を扱う神、ニンギルス一家に仕える女官の神たち、聖歌を司る神や楽士の神、さらには理髪師の神やロバと山羊の牧夫の神たち、耕作地や川を管理する神たちなどが神殿に入り、最後に神の聖域を護る神たちが連なったのだそうです。

これらの職務を持った神々は従神と呼ばれる中位や下位の神様たちですが、シュメールの都市の守護神の神殿=家は、このように守護神の家族と従神が住んでいたことになります。日本でいえば、まるで昔の大名家のようですね。

上位の神々アヌンナキは、このように各都市に“住んで”いました。それは古代シュメール人にとって神々とは、とても実体性があると考える存在だったからかも知れません。

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