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リインカーネーション型の転生とは(1)フランスの心霊主義と輪廻転生

輪廻転生

欧米などのキリスト教圏でも「輪廻転生(りんねてんしょう)」の考え方が目立つようになったのは、1960年代以降だと言われています。

本来キリスト教では生命は神から与えられたものであり、輪廻転生といった考え方はありません。キリスト教にあるのは再生や復活の考え方であり、人間は死亡するとキリストの千年王国が終了するまでの間は死の眠りについているのであり、その眠りから起こされて復活するのを待っている状態であるとされています。

ですから死んでも魂が別の肉体に宿って再生するとか、輪廻のサイクルのなかで転生するといった考え方はないわけですが、しかし近代以降になって欧米や南米などのキリスト教圏でも「リインカーネーション型」とされる転生を信じる人たちが多くなって来ました。

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欧米の輪廻転生の原点はじつは近代の進歩主義にある!?

近代ヨーロッパのリインカーネーションの概念は、18世紀後半の進歩的思想や社会主義思想からその原点が生まれました。

1789年に始まったフランス革命の後のフランス社会では、ブルボン王朝の崩壊とともにカトリック教会の権威も低下し、古代のギリシャ思想やヨーロッパに紹介され始めたインド哲学、仏教といった非キリスト教の思想をもとに、生まれ変わりの物語が当時の知識人の心を捉えるようになります。

その後ヨーロッパが近代となった19世紀中頃あたりから、啓蒙主義やロマン主義、進歩主義の思想を背景に、フランスを中心とした心霊主義から「リインカーネーション型」の輪廻転生の考え方が生まれて来ました。

この心霊主義により盛んになったのが「交霊会」による霊魂との通信で、教育者で哲学者そして霊媒でもあったアラン・カルデックは交霊術の研究を行い、スピリティズムの創始者となります。

 

 

フランス心霊主義から始まったリインカーネーション

アラン・カルデックは霊との通信によって、スピリティズムの普及を使命とすることを霊から示されたとし、自分の前世は古代ケルトの祭司であるドルイドであると考えるようになります。

またキリストの復活とは輪廻転生であり、輪廻転生とは人間の罪の償いと進歩のためにあるものだとし、人間の霊は輪廻転生による進化によって最終的に救済され、「天界または神聖な世界」に至ると考えるようになります。

このように心霊主義から始まった「リインカーネーション型」の輪廻転生は、転生を繰り返すことによって霊魂が進化するという、インドの各宗教や仏教の輪廻転生とだいぶ異なるものでした。

そこには近代思想や進歩主義的な、自分の運命は自分の理知的な意思と選択によって自らが決定するという考え方が背景にあり、輪廻転生と自己の進歩や進化が結びついた考え方になったわけです。

 

 

魂のグループからの転生とそれを見守り助ける守護霊

ちなみに、当時のアラン・カルデックを除く心霊主義では、転生はあまり支持されていませんでした。なぜなら、死者の霊を呼び出すという交霊術と、霊魂が生まれ変わるという転生は矛盾した考え方だったからです。

しかしこの矛盾を解消する考え方として、霊魂は特定のグループの中で生きていたときの経験を共有し霊的に進化するといった「類魂(グループソウル)」という概念なども生まれていきます。

スピリチュアルの言葉として良く言われる「守護霊」はこの類魂で、守護霊として生きている人間の成長を助けている、といった解釈がされるようになります。

転生もしくは再生は、霊魂のグループである類魂からまだ若い魂が肉体を得て再生し、霊性の発達している魂が守護霊となって、その再生した人間を見守り助ける、ということなのだそうです。

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