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吸血鬼は現代にも存在する?ヴァンパイアの下僕となったレンフィールド

吸血鬼

人間のような姿をしていながら、人の血を吸うモンスター。棺桶から不死の怪物として蘇って死と生の間を彷徨い、コウモリ・狼といった様々な動物への変身能力や超越的な力を発揮し、魔眼をもって人間を魅了して欺く。「吸血鬼」「ヴァンパイア」と呼ばれるこの怪物が、ヨーロッパ世界を中心にモンスターのトップスターとして、多くの人々に知られ続けて来たのはどうしてなのでしょうか。

そればかりか吸血鬼は現代においても多くのファンを持ち、近年でも「トワイライト・サーガ」や「アンダーワールド」のシリーズなど、吸血鬼を主役とした映画がいくつも製作され、日本でもライトノベルやアニメに登場します。

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世界には血を飲む習慣がある人たちがいるのだという

おそらく吸血鬼は現代で最も人気の高く、かつ現代社会にあってもいちばんにその存在を信じる人たちのいる怪物、だと言えるのではないでしょうか。
ヴァンパイアがヨーロッパ中にそして世界に広まって以降、吸血鬼の研究や探索が行われてきましたが、現代でも例えばイギリスの心理学者であるエミール・ウィリアムズ博士が、英国には血を飲む習慣を持つ人が存在していて、その数は15,000人以上にものぼると考えられると主張して話題になりました。

ここで早とちりしないように気をつけなければいけないのは、血を飲む習慣を持つ人=伝承されてきた魔物の吸血鬼、ヴァンパイアということでは必ずしもないということです。おそらくこの人たちは、「クリニカル・ヴァンパイアリズム(Clinical Vampirism)」あるいは「レンフィールド症候群」と呼ばれる吸血症(好血症)を持つ人々のことでしょう。

 

 

ドラキュラの下僕となったレンフィールド

レンフィールド症候群という名称は、吸血鬼の代表選手である「ドラキュラ」を世に送り出した、19世紀後半のアイルランドの小説家ブラム・ストーカーの作品に出てくる登場人物の名前から採られています。

その作品「吸血鬼ドラキュラ」(1897年刊行)は、ルーマニアから新たな獲物を求めてロンドンにやってきたドラキュラ伯爵を、精神医学者のヴァン・ヘルシング教授の助けを借りて、その教え子のジャック・セワードやアーサー・ホルムウッドら、ドラキュラに吸血されてしまったルーシー・ウェステンラの求婚者たちがドラキュラと戦う物語。

この物語に出てくるR・M・レンフィールドという人物は、セワードの精神病院の奇妙な患者です。レンフィールドは普段からクモやハエなどの虫や小動物を捕まえて食べ、その食べた生き物の生命力がそのまま自分の生命力になると信じているのです。

自分の配下となる者を探していたドラキュラ伯爵はこのレンフィールドに目をつけ、生命の力を与えることを約束して自らの僕(しもべ)とします。そして、レンフィールドに手引きをさせてセワードの病院に潜入し、ネズミの魔物などを使ってパニックを引き起こすのです。

 

 

ヴァンパイアの生命力は現代人にもあこがれなのか??

つまりレンフィールドはヴァンパイアの生命力にあこがれ、それを求めて下僕となった人物です。人間をはじめ動物の血液は古代より生命力を司る源泉と考えられていて、実際に全身の細胞に酸素や栄養分を運ぶ重要なものですから、吸血鬼が血を吸うことによって生命力を獲得し操るという発想につながって行きます。

現代のレンフィールド症候群の人たちも、どうやら血を飲むことによって生命力を、あるいは普通の人間が持ち得ないパワーの獲得を求めているのかも知れません。ここで注目したいのは、ヴェンパイアが単に人間を襲う怪物であるとかつて昔に怖れられていた存在ではなく、不死であることも含めその生命力や超越的パワーに、なんらかの共感やあこがれめいたものが現代まで続いて来た存在だった、ということではないでしょうか。

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