鎮花祭の神楽。世界遺産の春日大社から若草山に行くなら、万病封じの水谷神社へ参拝を
国内有数のパワースポットであり、世界遺産としても登録されている春日大社。
その春日大社本殿から、観光地の若草山へと向かう参道の途上に、ひっそりと祀られている小さな神社があります。
万病封じの神徳があるといわれている水谷神社
春日大社の摂社にあたり、万病封じの神徳があるといわれている水谷神社です。
御祭神は素盞鳴命、大巳貴命、奇稲田姫の三神で、江戸時代までは神仏習合の影響で、八坂神社の御祭神で医薬の神でもある牛頭天王も祀られていたそうです。
子授石
本社の春日大社に比べ、知名度という点ではかなり見劣りする水谷神社ですが、社殿前には「子授石」という霊験あらたかな石があり、きれいな布でこの石を拭き、その布で体を清めると子宝が授かるとのこと。
さらに目を惹くのが、水谷神社の瑞垣から伸びる巨樹。イブキの木で樹高12.5m、幹周6.55mからなる巨樹ですが、幹は空洞となっており中にはスギの木が伸びているとのこと。イブキの幹がスギを抱え込む形になっていることから、「水谷神社の宿生木」と呼ばれ信奉されているそうです。
私が訪れた時にも、女性の方がこの宿生木の幹をさすっておられるのを目撃。どうやらご利益があるらしく、よく幹を見ると多くの方がさすっていかれるのか、一部きれいに磨かれたせいかキレイに光っている箇所が見受けられました。
しかし、「水谷神社の宿生木」は葉をほとんどつけることのない衰弱した巨樹のため、倒木対策はとられているものの、ご利益を求めるあまり強くさするのはやはりオススメできません。どうしても、という方は軽くタッチするくらいが良いのではと思われます。
鎮花祭のはじまり
さて、万病封じの神徳がある水谷神社ですが、その名を高めているのが毎年4月5日にとり行われる「鎮花祭」。人心が荒廃していた鎌倉時代末期、1288年に疫病の流行を鎮めるため、神前に桜の花を奉じたのが始まりだといわれている御祭りです。
午前からは玄米などを撒く散供、本殿への桜花献上、祝詞の奏上などの神事があり、中でも華やかに着飾った四人の巫女さんによる神楽はたいそう優美で胸を打つものがありました。午後には神職さんら有志による「水谷狂言」と呼ばれる狂言が奉納され、水谷神社周辺は人々で溢れ返っていました。
病魔退散祈願だけではもったいない
鎮花祭で賑わいを見せてはいましたが、普段は静かな森に包まれ、水谷川のせせらぎを背にひっそりとたたずむ水谷神社。春日大社から若草山へと向かう観光客など、人々の往来が激しいわりには静謐な時間が流れているようで、非常に落ち着く場所でもあります。
何よりも「水谷神社の宿生木」と呼ばれ、親しまれ信奉されている老イブキの巨樹からはとても強い力のようなものが感じられ、病魔退散を願う方以外にも訪れて欲しいパワースポットだと感じました。