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ラグナロクのストーリー:悪戯好きの神ロキと巨人族

ラグナロク

古代よりスカンジナビア半島を中心に、口述による伝承によって受け継がれてきた北欧神話は、13世紀頃に「エッダ」という文書にまとめられ、それまでの伝承に整合性が与えられました。

エッダのエンディング=エピローグには、巨人族と神々が大きな戦争を起こし、その末に巨人族も神々も、そして両者が存在している環境をも滅亡・消滅してしまうという、ショッキングなストーリーが据えられているのですが、これこそがラグナロク、つまり「神々の黄昏」の骨子なのです。
ラグナロクは、北欧神話に登場する邪神で火の神のロキと、光の神バルドルのやり取りを発端として起こります。

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悪戯好きの神ロキ

ラグナロクのエピソードの発端となっている、北欧神話の中の二人の神のうちのひとり、ロキは、邪神であり、火の神とも呼ばれていますが、北欧神話の中では、悪戯好きの神としても描かれています。古ノルド語という原語で書かれていたというエッダ(北欧神話の根幹をなすという文書群)の中に登場するロキは、古ノルド語であり、「閉ざすもの」、「終わらせるもの」という意味を持っています。

まさに、名前からしてラグナロクのエピソードにつながるかのようなキャラクターですが、そもそも彼は、ヨトゥンという神々の敵にあたるキャラクターの血を引くものとして定義されています(神という存在が、人間的な「血を引くもの」という表現で描かれていることには若干違和感を感じますが、このあたりは神話ならではです)。

 

 

ヨトゥンこそが巨人族

ロキがその地を引くというヨトゥンという種族こそが、ラグナロクにつながる最終戦争において、神々の敵となった巨人族の種族なのですが、ヨトゥンは「霜の巨人」といわれています。

ヨトゥンは、神々と対峙するに値するほどの超人的な強さを持っていて、神という超越した存在に対して、大自然の精霊という位置付けで描かれている種族であり、キリスト教的な解釈でいえば、「神々において計画された運命的なストーリーの背景であり、前提であり、かつ神の存在に対峙できうる唯一の存在」である、といえそうです。

また、ヨトゥンという言葉は、ゲルマン語においてはさらに現実的な解釈がなされていて、「大食い」や「人食い」といったニュアンスを含んでいる、といいます。
ここには、当時の人間が、大自然の脅威や猛威に対して、多分に擬人的な怖れを抱いていたことが見て取れます。

神々が運命的な存在であるとするならば、ヨトゥン、つまり大自然も、人間がコントロールできる範疇を超えた、ある意味神にも似た存在ととらえていたことがわかります。

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カテゴリ: その他

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