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ケートス…海の怪物物語:古代エチオピアを襲った巨大クジラ

古代文明
 
北欧の海に棲むという海の巨大怪物「クラーケン」の姿は、そのあまりの巨大さゆえか、はっきりとは知られていません。クラーケンの伝承のもとのひとつになったと考えられている、アイスランドの「伝説のサガ」に登場する怪物「ハーヴグーヴァ」と「リンギバク」では、世界最大のクジラであると表現されているようです。

現実のシロナガスクジラは地球上で最大の生き物ですが、古代のギリシャ神話にはクジラ類の意味がある「ケートス」と呼ばれる海の怪物が語られています。

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ケートスは巨大な化け物クジラ!?

ケートスというのは、本来はクジラやシャチなどの海の哺乳類や海獣を指す言葉だそうですが、一方で海の怪物を指す言葉としても使われました。

ケートスは最高神のゼウスに創られたとも、海神ポセンドンによって生み出されたとも、あるいは大地神ガイアの息子で怪物の王である巨人テューポーンと、上半身は美女で下半身は蛇の怪物エキドナとの間に生まれたとも言われています。

その姿は、頭部は犬のような長い鼻面で蛇のように長く膨らんだ胴体、下半身は魚かクジラのようであり、尾びれは扇型に広がり2つに割れていると言われます。ツノや足があるという説もあります。また、海の妖精が乗って海上を行く乗り物であるとも言われます。

 

カシオペア、アンドロメダとケートスの物語

よく知られるものとしては、ケートスのこんな物語があります。

古代エチオピアの王ケーペウスの妃でアンドロメダの母であるカシオペアは、自分の美しさを広言してはばからない高慢な女性で、海に棲む女神たちネーレーイスの誰よりも美しいと自慢していました。ちなみにネーレーイスはすべて姉妹で、50人とも100人いるとも言われています。ポセイドンの妻であるアムピトリーテーもネーレーイス姉妹のひとりです。

さて、カシオペアの自慢にネーレーイスたちは怒り、海神ポセイドンに訴えました。そこでポセイドンは海の怪物ケートスをエチオピアに送り、国土を荒らさせたのです。このためエチオピア王のケーペウスとカシオペアは、娘のアンドロメダをケートスに捧げなくてはならなくなりました。

このアンドロメダを救ったのが英雄のペルセウスです。ペルセウスは最高神ゼウスの血をひく半分は神、半分は人間の半神。神々から授かった武器を駆使して、見た者を石に変えるという怪物メドゥーサを殺し、その首を取るのに成功しました。

 

ケートスを石に変え退治した英雄ペルセウス

空を飛んでメドゥーサの首を持ち帰る途中では、巨人アトラスをメドゥーサの首の魔力で山に変え、やがて海の怪物ケートスの生け贄にされようとしていたアンドロメダを上空から見つけます。ペルセウスは、アンドロメダとの結婚をケーペウス王に約束させるとケートスと戦い、最後にはメドゥーサの首の魔力で石に変えて退治し、アンドロメダを救い出したのでした。

しかしアンドロメダとの婚礼の宴に、彼女のもとの婚約者であるピーネウスという男が仲間を引き連れ襲って来ました。婚礼の宴は戦いの場になりますが、ペルセウスはピーネウスたちにまたもやメドゥーサの首を見せ、彼らを石に変えてしまいます。そしてペルセウスは、アンドロメダを連れて故郷に帰るのでした。

秋の夜空に輝く星座「くじら座」は、まさにこのケートス。「カシオペア座」や「アンドロメダ座」、「ペルセウス座」が集まる空の近くに見ることができます。

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