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玄武が亀と蛇が絡みついた不思議な姿になった理由とは?

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北の方位を司る「四神」の「玄武(げんぶ)」は、足の長い亀に蛇が絡みついた姿をしています。
別の記事でご紹介した古代の「亀卜(きぼく)」という、亀の甲羅を用いて行う「亀甲占い」があったように、亀は冥界と現世を往来し冥界からの神託を持って来る役割がありましたから、もとは亀の姿だったと思われます。それがなぜ、蛇が絡みつくという不思議な姿になったのでしょうか?

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陰と陽の2つの性質を合わせ持つ玄武

これには様々な説があるようですが、多くは「陰陽五行思想」の陰陽にまつわる意味合いが多いようです。

玄武の属性は、方位は「北」、季節は「冬」で色は「黒」、五行は「水」ですが、四象という陰陽で示す概念では「太陰(老陰)」となります。月が太陽に対して太陰と呼ばれるように、とても象徴的な「陰」であるわけですが、わたしたちに最も身近な陰陽の例で言えば女性が陰で男性が陽となります。付け加えて言いますが、陰と陽のどちらかが優れているということではありません。この宇宙と万物は、陰と陽の2つの性質で成り立っているという意味です。

さて玄武の姿ですが、この陰陽で言うと亀は陰つまり女性を表し、蛇は陽で男性を表していて、亀に蛇が絡み付いた姿は男女が和合した姿ということになります。

 

玄武が象徴しているもの

中国の後漢の時代(紀元25年から220年)末の道教の仙人と言われる魏伯陽は、この玄武の姿を「亀蛇」であると言い、共に寄り添って雌雄となり、のちにつがいとなる、と記したそうです。

また、亀は長命であることから「長寿と不死」、蛇は脱皮し再生すると考えられていたことから「生殖や繁殖と繁栄」を象徴しているとされます。つまりは、亀と蛇との結合によって宇宙と世界が再生しながら永遠を形作る、ということになるのでしょうか。

ちなみに魏伯陽は、不老不死の仙人になれるという神丹と呼ばれる霊薬づくりを行い、完成したので飲むと即死してしまったそうです。試しに飲ませた犬と、同じく弟子も飲んで死んでしまうのですが、やがて魏伯陽は生き返り、死んだ犬と弟子に再び神丹を飲ませるとこれも生き返ったのだとか。果たして不死の神丹はできたのでしょうか。

古代の日本でも、亀と蛇はとても象徴的な生き物でした。昔話の浦島太郎の「浦島伝説」で龍宮城に案内するのは亀でしたし、亀は現世と龍宮城とを時空を超えて往来するものです。

また蛇は、縄文の古代から蛇神信仰があったように、その強い生命力や姿かたちから男性のシンボルとも重なって、やはり繁殖や五穀豊穣の象徴とされました。三輪山の国つ神である大物主が、蛇神であったことは良く知られています。

このように亀と蛇は、アジアの古代世界で共通したイメージと象徴性を持っていたのでしょう。

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