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ナスカの地上絵の描き方は1つじゃない?第二の手法「目視描画」とは

太陽系
 
世界遺産に登録されているナスカの地上絵は、1930年代に学会に発表されて以降、さまざまな調査や研究がなされてきました。紀元前200年から紀元後800年頃に、当時のアンデス文明で栄えていたナスカ文化の時代に描かれたものである、といわれていますが、当時の記録が残っていないため、「誰が何の目的で、どのように描いたのか」、については、今も活発な議論がなされています。そんな中ここ日本において、異なる方法で、ナスカの地上絵の再現実験がおこなわれました。

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今も現地で作られている巨大絵

日本における再現実験は2種類おこなわれています。拡大法と目視描画です。拡大法は、2009年に九州産業大学工学部の住居・インテリア設計学科准教授である諫見泰彦氏によって実施され、20回以上成功を収めています。そしてもう一例、目視法による再現実験が、山形大学の文化人類学・アンデス考古学教授である坂井正人氏主導で、2009年におこなわれました。この実験がおこなわれるきっかけは、坂井氏が「現代のナスカでも、地上絵が描かれ続けている」との話を聞いて、2008年に現地を訪れたことから始まります。

 

現地の農民が用いている手法を応用した目視描画

2008年当時、ナスカの地に30メートルほどのキリスト教の聖母像が新たに描かれていることから、「巨大絵を描いた当事者」を探したところ、描いたのは近くに住む農業に従事している女性2人であることがわかりました。彼女らは2003年に、種まきをする要領で、わずか30分の時間で半分ずつを描ききった、といいます。ナスカ地方では、種まきをする際には、横一列に並んで、歩調を合わせて前進してくまなく種をまく、といった手法を用いているとのことで、この方法を応用すれば、小さな原画をベースに、「描きたい部分まで、何歩分歩けばよいか」を頭の中で考えて、歩いていく際に地表に出ている黒系の石を蹴飛ばし、その下にある白色の地層を表出させることで、巨大絵が作成できることがわかりました。

 

日本の小学校で再現に成功

これは「目視描画」という手法で、坂井氏は彼女らに、実際にその場でキツネの絵を描くよう依頼したところ、15分ほどで絵が完成したそうです。坂井氏は帰国後、山形県下の小学校の6年生の児童と保護者に依頼し、再現実験を試みたところ、20m程度の大きなサクランボや将棋のこまの巨大絵を描くことに成功した、とのことです。「誰が描いたのか」は諸説あるものの、ナスカ地方の昔ながらの農業の手法を用いれば、巨大絵を描くことが可能である、と証明されたのです。

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カテゴリ: その他

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