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悪役ばかりじゃない!古代のスーパーヒーロー役小角を助ける2人の鬼

不思議体験
 
鬼と言えばいつも敵役、桃太郎の伝説に出てくる鬼は人々を苦しめ財宝を奪って貯め込んでいる存在です。桃太郎は、桃から生まれたという普通の人間ではない、言ってみればスーパーヒーロー少年。敵役である鬼は、そのスーパーヒーローに遂には退治されてしまいます。

しかし古代の日本には、スーパーヒーローに退治されるのではなく、逆に彼にいつも従って助ける鬼もいたのです。

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飛鳥時代のスーパーヒーロー「役小角」

飛鳥時代の7世紀、大和国に「役小角(えんのおづぬ、役の行者)」という人がいました。
役小角は日本の修験道の開祖とされていて、「続日本記」に記述もある実在したと思われる人ですが、呪術を使い海の上を歩いて渡ったり空を飛んだりと、数多くの不思議な伝説を残した古代の超人=スーパーヒーローでもありました。

役小角については、「日本霊異記」という平安時代に書かれた最古の仏教説話集に伝承をもとにした話が載せられています。若い頃から雲に乗って仙人と遊び呪術を駆使する力を持っていた役小角は、あるとき葛木山と金峯山の間に橋を架けようと神々を動員しますが、葛木山の一言主という国津神が夜しか働かなかったため折檻したことから、一言主は天皇に謀反を企てていると訴えます。役小角は捕らえられ伊豆大島に流されますが、毎夜、海の上を歩いて富士山に登っていたとも言われます。

このように役小角は山々を活動場所とした超人的力を持った山の民で、修験道の霊場など各地に役小角の伝承があることから、山岳信仰と結びついた修験道の開祖とされました。

 

役小角が従えていた「前鬼、後鬼」

役小角にいつも従って、彼を助けていたのが「前鬼、後鬼」というふたりの鬼です。
伝承では前鬼が男で後鬼が女、彼らは夫婦でした。
もともとは生駒山地に住み人々に災いをもたらしていたのですが、役小角が彼らを捕らえて改心させ、それから式神(主に陰陽師などが使役する鬼神のこと)または弟子として従うようになったということです。

夫の前鬼は赤鬼で鉄斧を持って役小角の前を行き、道を切り拓く姿が描かれ、妻の後鬼は青鬼で霊力のある水=理水の入った水瓶を手に、種を入れた笈を背負う姿で描かれることが多いそうです。これは男性の前鬼が狩猟や開拓の神の姿であり、女性の後鬼が農業や豊作の神の姿であることを表しているのかも知れません。

前鬼と後鬼には5人の子どもがいて、彼らは五鬼または五坊と呼ばれ、役小角の5人の弟子とされることもあります。役小角の5人の弟子はのちに修験道の霊場である奈良県吉野の下北山村に修験者のための宿坊を開き、それぞれ五鬼継、五鬼熊、五鬼上、五鬼助、五鬼童の5家の祖となったと言われています。

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