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最後の錬金術師・フルカネリとは誰だったのか


 
錬金術では、「不老不死の実現」という、現代医学でも実現できていないような事象を標榜しており、錬金術師は、この実現に直接力を及ぼすことができる存在である、とされています。「最後の錬金術師」とされる、フランスのフルカネリは、その正体は不明のままではあるものの、ヘルメス思想の研究会によって、10人ほどの候補があげられている、とのことです。

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フルカネリとされる人物の候補たち

フルカネリの正体の候補として、まず第一にあげられるのが、「実際にフルカネリに会った」と主張している、ジャン・ジュリアン・シャンパーニュという人物です。フルカネリが残したとされる著書『大聖堂の秘密』は、1926年に発表されているのですが、彼がフルカネリの著書に挿絵を提供しています。当時フランスはパリに存在していたオカルト・サークルにおいて、ユージェーニュ・カンセリエという人物と共に「フルカネリに会っている」、と証言しているそうです。その時の会話をもとに製作されたのが『大聖堂の秘密』であった、とする説です。

第二の説は、フルカネリとジャン・ジュリアン・シャンパーニュが面会した際に立ち会っていたという第三の人物、ユージェーニュ・カンセリエです。彼はフルカネリの著書において、序文を提供しています。

ほかにもピエール・デュジョリという古書商や、太陽定数の考案者とされる物理学者のジュール・ディオリなどが候補にあがっています。また、これらの人物が共同で著書を製作した、という説も存在しています。

 

幻となった3冊目の著書

フルカネリは『大聖堂の秘密』と『賢者の住居』というふたつの著書のみ残していますが、実はそのほかにも第三の著書があった、といわれています。これが『世の栄光の終わり』という作品なのですが、一説によると「著者=フルカネリの意向により、発表中止となってしまった」そうです。

その一部は、『大聖堂の秘密』や『賢者の住居』の第二版が出版された際に収録されたようなのですが、未収録部分は行方不明になってしまい、その内容は今では知ることができません。

とはいえ著書の中には、ユイスマンスやルネ・ゲノンという、19世紀の作家や神秘学者の名前が登場していることから、19世紀から20世紀当時のフランスの文化の影響も垣間見ることができます。特にルネ・ゲノンは、世紀末的思想が色濃く出ている作品を発表していたり、晩年にカトリックに改宗した際に、フランスのシャルトル大聖堂とキリスト教象徴学についての考察的作品を発表していたりと、フルカネリの世界観に通じるところがあるようにも見受けられます。

いずれにせよ、全貌の解明には、まだまだ時間がかかりそうです。

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カテゴリ: その他

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