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半人半獣の妖精、フランスに伝わる「メリュジーヌ」の物語

古代文明
 
中世の錬金術師パラケルススが提唱した水・火・風・地の四精霊は、精霊伝承のベースとしてもっとも有名なものなのですが、これ以外にも精霊や妖精の伝承はたくさん残されています。水の精霊ウンディーネの娘という説が存在する、フランスの妖精伝承メリュジーヌもそのひとつで、1397年に著された『メリュジーヌ物語』という写本の中でモチーフが詳しく描かれていて、こんにちでも中世のロマンスの物語として語り継がれています。

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妖精メリュジーヌの誕生

先に述べた『メリュジーヌ物語』では、メリュジーヌは女性であり、水の精霊ウンディーネと人間の男性(オールバニ=今のイギリスやスコットランドのあたりの領主)との間に生まれた子とのことです。妖精や精霊は、もともと「魂を持たない存在=人間と霊(または神)との中間的な存在」であるため、魂を得るには、人間の男性と一緒になる必要があった、ということです。もとは普通の人間の姿で生まれたメリュジーヌですが、禁忌とされていた「(母親である精霊の)出産」を父親が目撃してしまったために母親が精霊の世界に押し込められてしまい、結果的に子供時代に寂しい思いをしたメリュジーヌが、姉妹と結託して父親を幽閉したところ、逆に母親の怒りを買ってしまい、母親から呪いをかけられてしまいます。その結果、週に1日(日曜)だけ下半身が水蛇になるという、半人半獣の存在になってしまいました。

 

因果応報、歴史は繰り返した

その後メリュジーヌは、母親からかけられた呪いを解くために、母親と同じように人間の男性を一緒になるのです(人間の男性の愛を得れば呪いが解けるため)が、母親と同じような問題がおきます。週1回の水浴びを決して見ないよう、夫である男性に約束させていたにもかかわらず、夫は妻の半人半獣の姿をのぞき見てしまいます。母親からかけられた呪いにはもうひとつポイントがあり、「正体を見られた場合には一生呪いが解けない」というものでした。

 

スターバックスのロゴのモデル

その後もなんとか二人は夫婦でいますが、二人の間に生まれた子供たちが問題を起こし、それを咎めた夫とメリュジーヌの間で諍いが絶えなくなり、とうとう夫がメリュジーヌを「化け物女」と罵倒してしまいます。メリュジーヌは深く傷つき、教会の塔を破壊して、河に姿をくらましてしまいます。現代の結婚生活にも通じる生々しい問題を含んだこの逸話は、キリスト教の浸透とあわせて世の中に普及していきました。今も関心を持って語り継がれていることは、スターバックスコーヒーのロゴマークに、メリュジーヌの半人半獣の姿がモチーフとして使われていることにもあらわれています。

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カテゴリ: その他

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