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創世記の大洪水はいつ起こったのか?アブラハム生年から算出を試みる

古代文明

 

創世記のノアの子セムから始まる系図から大洪水の発生年を算出してみます。
旧約聖書(以下旧約と略称)は、ノアは三人の息子(セム、ハム、ヤペテ)と彼らの妻と共に箱舟に乗ることで大洪水の惨禍から逃れたとします。なお、三人の息子は異なる民族の始祖となります。
旧約の第11章ではセムからアブラハムに至るセムの直系の家系を、長子が生まれた時の父の年齢とその後に父が生きた年数の形式で記しています。
本稿では、アブラハムの生年から逆算して大洪水の起きた年を求めてみます。

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2. セムの系図

旧約の第11章をまとめると以下のようになります。

2.1 文章による表現

(1) セムは100歳になって洪水の2年後にアルバクサデを生み、その後500年を生きて男子と女子を生んだ。
(2) アルバクサデは35歳になってシラを生み、その後403年を生きて男子と女子を生んだ。
(3) シラは30歳になってエベルを生み、その後403年を生きて男子と女子を生んだ。
(4) エベルは34歳になってベレグを生み、その後430年を生きて男子と女子を生んだ。
(5) ベレグは30歳になってリウを生み、その後209年を生きて男子と女子を生んだ。
(6) リウは32歳になってセルグを生み、その後207年を生きて男子と女子を生んだ。
(7) セルグは30歳になってナホルを生み、その後200年を生きて男子と女子を生んだ。
(8) ナホルは29歳になってテラを生み、その後119年を生きて男子と女子を生んだ。
(9) テラは70歳になってアブラム(後のアブラハム)、ナホル、およびハランを生んだ。その後135年生きた。

 

2.2 記号表現

前節の系図の記述を
息子=Son(父、誕生時の父の年齢、息子の誕生からの父の存命年)
の形式で表すと以下の式(1)になります。

セム = Son(ノア,500, 450)
アルバクサデ= Son(セム,100+2, 500)
= Son(セム, 大洪水の発生年+2, 500)
シラ = Son(アルバクサデ,35, 403)
エベル = Son(シラ,30, 403)
ベレグ = Son(エベル34, 430,)
リウ = Son(ベレグ30, 209,)
セルグ = Son(リウ,32, 207)
ナホル = Son(セルグ,30, 200)
テラ = Son(ナホル,29, 119)
アブラム  = Son(テラ,70, 135)
・・・・・・(1)

 

3 アブラムの誕生年と大洪水の発生年との関係式

大洪水はセムが100才の年に発生したとされ、アブラムは紀元前2123年に誕生したとされています。これらの年をもとにして、大洪水が発生した年とアブラムが誕生した年との関係を表すと式(2)になります。

アブラムの生年(=BC 2123)
= テラの生年 + 70
= ナホルの生年 +29 + 70
= セルグの生年 30+ +29 + 70
・・・・途中省略・・
= 大洪水の発生年+2+(35+30+34+30+32+30+29+70)
= 大洪水の発生年+2+(290) ・・・(2)

式(2)を変形すると大洪水の発生年を求める式(3)になります。

大洪水の発生年
=アブラムの生年 - {2+(290)}
= -2123 - {2+(290)} ・・・(3)

式(3)では{2+(290)}の項があまりにも小さすぎ、このままでは現実的ではありません。旧約の編者が元の記述を誤解したか、故意に変形した可能性が考えられます。

 

 

4 年数の補正

ここではアラン・F・アルフォード氏の説に準拠した説明を試みます。

 
(1) 旧約のもととなった資料には表中の“原典に記された年数”欄の数が記されていたものと推定します。ところがあまりにも大きい年数なので、編者は最大公約数の50で割った値を経過年数にしました。それが表中の“旧約の年数”欄の数です。

 
(2) 旧約の編者は“原典に記された年数”欄の数が10進数表記の数と誤解してしまいました。シュメール人はシュメール独特の60進法で表記していたことを認識していなかったのです。表1の“原典の年数”欄の数がシュメールの60進法で表記されているものとして、それを10進数に補正したものが表1の“10進数への補正”欄の数です。これを合計すると8800になります。

表1 補正表
系図上の祖 旧約の年数 原典の年数 10進数への補正
アルバクサデ 2 100 60
シラ 35 1750 1070
エベル 30 1500 900
ベレグ 34 1700 1020
リウ 30 1500 900
セルグ 32 1600 960
ナホル 30 1500 900
テラ 29 1450 890
アブラム 70 3500 2100
経過年数 292 15100 8800

(3) 式(3)の“2+(290)”の項に表1の10進数への補正欄の総和を代入して式(4)を得ます。

大洪水の発生年
=アブラムの生年 – {2+(290)} = -2123 -創世記の大洪水はいつか

創世記のノアの子セムから始まる系図から大洪水の発生年を算出してみます。

 

1. 旧約聖書を参考にしてみます

旧約聖書(以下旧約と略称)は、ノアは三人の息子(セム、ハム、ヤペテ)と彼らの妻と共に箱舟に乗ることで大洪水の惨禍から逃れたとします。なお、三人の息子は異なる民族の始祖となります。旧約の第11章ではセムからアブラハムに至るセムの直系の家系を、長子が生まれた時の父の年齢とその後に父が生きた年数の形式で記しています。本稿では、アブラハムの生年から逆算して大洪水の起きた年を求めてみます。

 

 

2. セムの系図

旧約の第11章をまとめると以下のようになります。

2.1 文章による表現

(1) セムは100歳になって洪水の2年後にアルバクサデを生み、その後500年を生きて男子と女子を生んだ。
(2) アルバクサデは35歳になってシラを生み、その後403年を生きて男子と女子を生んだ。
(3) シラは30歳になってエベルを生み、その後403年を生きて男子と女子を生んだ。
(4) エベルは34歳になってベレグを生み、その後430年を生きて男子と女子を生んだ。
(5) ベレグは30歳になってリウを生み、その後209年を生きて男子と女子を生んだ。
(6) リウは32歳になってセルグを生み、その後207年を生きて男子と女子を生んだ。
(7) セルグは30歳になってナホルを生み、その後200年を生きて男子と女子を生んだ。
(8) ナホルは29歳になってテラを生み、その後119年を生きて男子と女子を生んだ。
(9) テラは70歳になってアブラム(後のアブラハム)、ナホル、およびハランを生んだ。その後135年生きた。

 

2.2 記号表現

前節の系図の記述を
息子=Son(父、誕生時の父の年齢、息子の誕生からの父の存命年)
の形式で表すと以下の式(1)になります。

セム = Son(ノア,500, 450)
アルバクサデ= Son(セム,100+2, 500)
= Son(セム, 大洪水の発生年+2, 500)
シラ = Son(アルバクサデ,35, 403)
エベル = Son(シラ,30, 403)
ベレグ = Son(エベル34, 430,)
リウ = Son(ベレグ30, 209,)
セルグ = Son(リウ,32, 207)
ナホル = Son(セルグ,30, 200)
テラ = Son(ナホル,29, 119)
アブラム  = Son(テラ,70, 135)
・・・・・・(1)

3 アブラムの誕生年と大洪水の発生年との関係式

大洪水はセムが100才の年に発生したとされ、アブラムは紀元前2123年に誕生したとされています。これらの年をもとにして、大洪水が発生した年とアブラムが誕生した年との関係を表すと式(2)になります。

アブラムの生年(=BC 2123)
= テラの生年 + 70
= ナホルの生年 +29 + 70
= セルグの生年 30+ +29 + 70
・・・・途中省略・・
= 大洪水の発生年+2+(35+30+34+30+32+30+29+70)
= 大洪水の発生年+2+(290) ・・・(2)

式(2)を変形すると大洪水の発生年を求める式(3)になります。

大洪水の発生年
=アブラムの生年 - {2+(290)}
= -2123 - {2+(290)} ・・・(3)

式(3)では{2+(290)}の項があまりにも小さすぎ、このままでは現実的ではありません。旧約の編者が元の記述を誤解したか、故意に変形した可能性が考えられます。

 

 

4 年数の補正

ここではアラン・F・アルフォード氏の説に準拠した説明を試みます。

 
(1) 旧約のもととなった資料には表中の“原典に記された年数”欄の数が記されていたものと推定します。ところがあまりにも大きい年数なので、編者は最大公約数の50で割った値を経過年数にしました。それが表中の“旧約の年数”欄の数です。

 
(2) 旧約の編者は“原典に記された年数”欄の数が10進数表記の数と誤解してしまいました。シュメール人はシュメール独特の60進法で表記していたことを認識していなかったのです。表1の“原典の年数”欄の数がシュメールの60進法で表記されているものとして、それを10進数に補正したものが表1の“10進数への補正”欄の数です。これを合計すると8800になります。

表1 補正表
系図上の祖 旧約の年数 原典の年数 10進数への補正
アルバクサデ 2 100 60
シラ 35 1750 1070
エベル 30 1500 900
ベレグ 34 1700 1020
リウ 30 1500 900
セルグ 32 1600 960
ナホル 30 1500 900
テラ 29 1450 890
アブラム 70 3500 2100
経過年数 292 15100 8800

(3) 式(3)の“2+(290)”の項に表1の10進数への補正欄の総和を代入して式(4)を得ます。

大洪水の発生年
=アブラムの生年 – {2+(290)} = -2123 – 8800 = – 10923 ・・・(4)

ここで得た10923という年数は大洪水の発生年として妥当なものです。

 

 

大洪水はアブラハム誕生の数百年前のできごとだった

アブラムの生年を既知のものとして、創世記のセムからアブラハムに至る系図を用いて大洪水の発生年を求めてみました。この過程で、創世記に記された年数表記をそのまま用いると、大洪水の発生はアブラハムの誕生の僅か数百年前のできごとになってしまいます。創世記の編者が原典の数字に何らかの操作をしたと思われます。
本稿ではアラン・F・アルフォードの説をとり、創世記の記した年数を50倍し、さらにそれらがシュメール式60進数表示の数と解釈し、10進数に変換した物を用いました。ひとつの考え方として有効と考えます。

 

参考 シュメール式60進数表示

各桁の値は、10倍,6倍,10倍,6倍・・・と大きくなります。各桁は以下の値をとります。

 
1の位  ・・・0,1,2,3,4,5,6,7,8,9
10の位  ・・・10,20,30,40,50
60の位  ・・・60,120,180,240,300,360,420,480,540
600の位  ・・・600,1200,1800,2400,3000
3600の位 ・・・3600,7200,10800,・・・,32400
36000の位 ・・・36000,72000,・・・略
8800 = – 10923 ・・・(4)

 
ここで得た10923という年数は大洪水の発生年として妥当なものです。

 

 

シュメール式60進数は有効な考え方

アブラムの生年を既知のものとして、創世記のセムからアブラハムに至る系図を用いて大洪水の発生年を求めてみました。この過程で、創世記に記された年数表記をそのまま用いると、大洪水の発生はアブラハムの誕生の僅か数百年前のできごとになってしまいます。創世記の編者が原典の数字に何らかの操作をしたと思われます。
本稿ではアラン・F・アルフォードの説をとり、創世記の記した年数を50倍し、さらにそれらがシュメール式60進数表示の数と解釈し、10進数に変換した物を用いました。ひとつの考え方として有効と考えます。

 

参考 シュメール式60進数表示

各桁の値は、10倍,6倍,10倍,6倍・・・と大きくなります。各桁は以下の値をとります。

 
1の位  ・・・0,1,2,3,4,5,6,7,8,9
10の位  ・・・10,20,30,40,50
60の位  ・・・60,120,180,240,300,360,420,480,540
600の位  ・・・600,1200,1800,2400,3000
3600の位 ・・・3600,7200,10800,・・・,32400
36000の位 ・・・36000,72000,・・・略

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カテゴリ: その他

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