実家がお寺業のわたし。たった1度だけ起こった忘れられない不思議体験
私の父の家系は代々お寺の家系でした。
曽祖父が寺を引き払ってしまったため、私の祖父以降はお寺に関係する職に就かず、普通のサラリーマンとして生活していましたが、我が家には元寺の家系であることがわかる、特殊な物がたくさんありました。
おばけ屋敷と言われることもありました
我が家に遊びに来た友人たちが一番驚くのは、広い庭にあったたくさんの石灯篭や墓石でした。おばけ屋敷のようだと思われていたそうです。
そのような家だったので、父も母も姉も不思議な体験をいくつかしていました。
いくつか私も不思議なものを見ることはあったのですが、一瞬だったり、まったく自分には関わってこない、ただそこにあるだけ、ということが多かったので、これといって問題だと考えたことはありませんでした。
唯一体験した不思議な話
ただ、唯一、その不思議なものが自分に関わってきたことがありました。
高校2年生の時です。ある日、夜中に2階のリビングでテレビを見ていたとき、姉が先に寝ると言い、リビングから出て行ってしまいました。私も寝ようと思い、立ち上がりかけたところ、胸に何かが圧し掛かってきました。抵抗しても振り払えず、重く、苦しい黒い人型の影にパニックになりながら、手足をめちゃくちゃに動かすと、ふわっと体が自由になりました。その瞬間、目が覚めました。
いつもと同じ、自分の部屋のベッドで仰向けになっていた自分に気付き、リビングでテレビを見ていたことも、黒い影が圧し掛かってきたことも、全て夢だと気付きました。
気がついたとたん金縛りに!
「ああ、良かった」と一息つき、寝なおそうとした瞬間、体が金縛りになりました。金縛りはたまに起こることですし、脳が起きていて、体が寝ている状態が金縛りだと聞いたことがあったので、落ち着いて対処しようとしたのですが、胸に息ができないほど重く苦しい何かが乗ってきました。夢で見た、あの黒い影でした。
夢のように、手足を動かそうにも、金縛りのせいで体が動かず、声も出せなかったのですが、とにかく出ない声で般若心経を口パクで唱え続けました。次に気付いた時は朝になっていました。
全て夢だったのだと思おうとしたのですが、その日着替えていた時に、母に「あんた、そんなに大きく、どこでぶつけてきたの?」と言われました。胸とその下の肋骨あたりに、広範囲に青紫色の痣ができていました。
不思議なことにこの一件以来、それまで頻繁に見ていた不思議な物は、一切見なくなりました。10年以上経った今でも、もう不思議なものは何も見えません。