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獅子舞はどうして始まったのか?現代に伝わる神事と芸能

獅子舞

日本のお正月の風物詩といえば「獅子舞」があります。現在では実際に見られることは少なくなってしまったのだと思いますが、お正月のテレビ番組などでどんなものかご存知の方は多いのではないでしょうか。

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江戸時代には始まっていた

江戸時代には、お正月になると江戸をはじめ全国各地で獅子舞をはじめとした「門付け(かどづけ)」というものが回って来て、これは家々の門口(かどぐち=家や門の出入り口)でお正月を寿ぐ芸能が演じられ、ご祝儀をいただくというものです。獅子舞のほかには大黒天の面と頭巾をかぶり舞う「大黒舞」、京阪地方で流行した福禄寿を模した「ちょろけん」というものもあったそうです。

大黒天や福禄寿は七福神で、大黒天は財や福を司り福禄寿は財や長寿を具現化した神様ですからまさにお正月を寿ぐにはぴったりなのですが、それでは獅子舞とはいったい何なのでしょうか。

 

 

獅子舞の2つの起源

お正月に家々の門口を回る門付けとは、季節の変わり目に神様が祝福に訪れ豊穣や幸福をもたらすという民間信仰、つまり「来訪神」にあやかった芸能です。この芸能を行う人たちのことは「祝言人(ほかいびと)」と呼ばれ、民俗学では「まれびと」とされる外部から福を持ってやって来る来訪者というわけです。

こういった「祝言人」には、もともと寺に属していた「声聞師」という芸人や神社に属して雑役を行う「神人(じにん)」、あるいは漂泊の民といわれる「傀儡子」など、一般の町人などとは異なる人びとから始まったとされています。

そのなかで獅子舞もいくつかの起源があるとされていて、ひとつは獅子舞を舞い伊勢神宮の神札を配りながら諸国を巡った「伊勢大神楽」の系統、別の系統では中世に始まった「風流踊」のなかのひとつを起源とするものなどがあるといわれています。

 

 

獅子舞は現代にまで伝わる神事にまつわる芸能

風流踊も疫病神を鎮める「疫病祭(えきじんさい)」や豊作を祈願して踊られる「田遊び」や「田楽」といった芸能を起源としているとされますから、神事や民間信仰がもとになった芸能というわけです。

日本の芸能というのは、このように豊穣や幸福をもたらす神仏を招く、来訪してもらうためのものであることが多く、それがやがて人びとを楽しませる興行へと発展していきました。その点では、お正月に行われる獅子舞は、本来の芸能の姿を現代にまで伝えているもののひとつであると言っても良いのではないでしょうか。

獅子舞には様々なバリエーションがあり、またほぼ全国で行われる日本で最も数の多い民俗芸能と言われています。他の門付けの芸能をはじめ、その多くがあまり見ることのできないものになってしまったなかで、なぜ獅子舞が日本全国で定着して行ったのか?じつはとても多種多様な獅子舞の謎を探ってみたいと思います。

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