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小説の主人公になった水の精霊ウンディーネ

ウンディーネ

「四大精霊」のなかの水の精霊である「ウンディーネ」は、しばしば悲恋の主人公として語られました。その代表的な物語作品といえるのが、19世紀初めにドイツの作家フリードリヒ・フーケが著した中編小説「ウンディーネ」です。

この小説はドイツロマン主義小説の名作となり、戯曲「オンディーヌ」なって舞台上演され、後にはブロードウェイ・ミュージカルになりました。またこの小説からバレエ作品やオペラも生まれ、誰もが知る物語となりました。

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ウンディーネと出会い恋に落ちた騎士

それでは、フーケの小説「ウンディーネ」の物語を簡単にご紹介しましょう。

人里から離れた岬の近くに、老いた漁師夫婦が養子の不思議な少女ウンディーネと住んでいました。ある日漁師が岬で釣りをしていると、魔物が棲むという森を通り抜けてフルトブラントという騎士が現れ、一夜の宿を求めます。

しかし次の日から大水が出て、漁師の家を出ることができずにしばらく滞在することになったフルトブラントは、やがてウンディーネと恋に落ち結婚することになりました。

結婚翌日のベッドの中で、じつは自分が水の精霊であることをウンディーネは打ち明けます。
フルトブラントはそれでも変わらぬ愛を近い、ウンディーネを自分の住む町に連れ帰ったのでした。

 

三角関係の狭間で人間の妻となったウンディーネ

町では、フルトブラントを慕っていた貴婦人のベルタルダが待っていましたが、彼がウンディーネと結ばれたことに失望したものの、やがてウンディーネと仲良くなります。

しかし、ベルタルダの霊名日(自分の洗礼名の聖人の祝日)に、ベルタルダの本当の両親があの岬の漁師夫婦であることをウンディーネが明かすと、彼女は驚き激昂し尋ねて来た漁師夫婦を罵ってしまい、ついには実の親からも育ての親からも勘当されてしまいました。

フルトブラントは、自分の城に引きこもったそんなベルタルダに心が傾いてしまいますが、ウンディーネがベルタルダの窮地を救う出来事があって、フルトブラントとウンディーネとの愛情は戻ります。

 

水の精霊の制約を犯し物語は悲劇で終わる

やがて、フルトブラントとウンディーネ、ベルタルダの3人はウィーン旅行へと出かけます。その旅の中で、ウンディーネが人間の男性と結婚した水の精霊であることから、他の水の精霊から様々な悪戯を仕掛けられてしまうのです。

怒ったフルトブラントは、ついにはウンディーネを叱ってしまうのですが、これは「水辺で人間の夫がウンディーネを罵ってはいけない」という制約を犯すものでした。ウンディーネは水の精霊の掟に従い、嘆きながら水中へと戻ります。

ウンディーネを失ったフルトブラントは、かつてのベルタルダへの愛情が戻り再婚を決意します。ウンディーネはフルトブラントの夢の中に現れて、必死に思いとどまるように懇願しますが、願いもむなしくフルトブラントはベルタルダと結婚してしまいます。

そうすると、水の精霊の第2の掟「夫が浮気をした場合、ウンディーネ自身が水中に戻ったとしても夫を殺してしまわなければならない」に従って、フルトブラントの命を奪わなくてはならなくなりました。

ベルタルダの寝室に向かうフルトブラントの前に、白い衣装の女性が不意に現れます。それがウンディーネとわかったフルトブラントは口づけを交わしますが、やがて息絶えてしまったのでした。

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