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創作されたモンスター、フランケンシュタインの怪物の物語

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欧米の三大モンスターといえば、「吸血鬼」「狼男」そして「フランケンシュタインの怪物」ですね。どれも世界中に知られ、映画やテレビシリーズ、そして日本ではアニメなどにも頻繁に登場します。

それではこれら三大モンスターには、姿かたちや能力といった性質や特徴以外に大きな違いがあるのをご存知でしょうか。それも「フランケンシュタインの怪物」だけが違うのです。

聞けばなんだというお話なので、解答をお教えしましょう。それは吸血鬼と狼男が、ヨーロッパ世界などで遥か古代から伝えられてきた伝説の怪物であるのに対し、フランケンシュタインの怪物は19世紀の1人の若き女性、メアリー・シェリーが生みだした純粋に創作された怪物である、ということなのです。

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フランケンシュタインの怪物に名前はない

このフランケンシュタインの怪物がどんな怪物なのか、どうして生まれたのか、単なる想像の産物に留まらず現代にまで広く知られる存在になったわけは、などをこれから探ってみたいのですが、その前に小説の主人公として生みだされたこの怪物の物語を、ごく簡単におさらいしておくことにしましょう。

まず初めにあらためて知っておきたいのは、「フランケンシュタインの怪物」のフランケンシュタインとは怪物を造り出した科学者の名前で、怪物の名前ではないということです。

世界の伝承に伝わる怪物や妖怪にはほぼ必ず名前や呼び名がありますが、この怪物には名前がないのです。ですからこの怪物のことを「フランケンシュタイン」と呼ぶのは間違いで、またなぜ名前がないのかということも謎ではあるのですが、それはまた別の機会に考えてみたいと思います。

 

怪物の人造人間を造り出したヴィクター・フランケンシュタイン

スイスのジュネーブの名門、フランケンシュタイン家に生まれたヴィクターは、「新しい科学の力で、不可視の世界に本物そっくりの影を造ってみせることもできる」という言葉に触発され、人間の死体のパーツを繋ぎ合わせて人造人間を造ることに取り憑かれます。

そしてついに成功するのですが、美しく理想的な人間を造り出すはずが、実際に誕生したのはとても醜い姿の怪物でした。ヴィクターはこの怪物を見て逃げ出し、怪物自身もいなくなってしまいました。

二年が過ぎ、ヴィクターは郷里で幼い末弟のウィリアムが何者かに殺害されたという知らせを受けます。すぐに帰郷し殺害現場を見たヴィクターは、これがあの怪物の仕業であると確信します。しかし犯人とされたのは兄妹同然だった女中のジュスティーヌで、彼女は処刑されてしまったのでした。

ヴィクターは2人の死が自分のせいであると苦しみ、そして怪物を捜して歩き、モンブランの氷河に近い山でついに怪物と邂逅するのです。

 

怪物とヴィクターの悲劇の物語

出会った怪物はヴィクターに、もともとは優しく善良である筈の自分がみじめさによって怪物になったのであり、幸せになればもとの良い存在に戻れると、自分の思いを語ります。

怪物は、あるとき急流に落ちた少女を助けたのですが、人間の男が現れて子供をもぎとられ銃で撃たれたのです。それから怪物は人間を憎み、復讐の誓いを立てたのでした。そしてジュネーブ近郊で美しい男の子と出会うのですが、その子が自分を生みだした怨敵と考えるフランケンシュタイン家の子供であることがわかり、殺してしまったのです。

怪物は、自分に伴侶を造ってもらえれば幸せになって、人間とも和解でき近づかないようにする、とヴィクターに訴えます。そこでヴィクターは、スコットランド北方の離島で女性の人造人間を造り始めるのですが、もしこの2人が結ばれると子孫が産まれ怪物の一族ができてしまうと思いあたり、女性の人造人間が出来上がる前についには破壊してしまいました。

やがて願いを破られ復讐に燃えた怪物は、親しい友人と更には結婚したばかりの妻エリザベスの2人を殺してしまいます。ヴィクターは怪物を追って北極の海まで辿り着き、そこで遭難してしまうのです。そして探検隊の船に助けられながらも、彼は死の床に着いてしまうのです。

すると怪物がその船室に現れ、ヴィクターを殺し、「今は死がたったひとつの慰みだ」と自らの死を予言して船から飛び降り、氷の海に消えて行ったのでした。

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