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スコラ錬金術 - スコラ学と錬金術とのつながりは?

スコラ錬金術

11世紀頃、世界的にも近代化が進んでいく中、それまでの神秘主義的非科学的な要素、なかでもそれまでタブー視されていたキリスト教の秘匿にもスポットを当てて、論知的に解明していこうとする動きと、それまでの慣習どおり、神秘的な部分は無条件に受け入れようとする動きに、キリスト教が大きく二分されました。

錬金術の概念は、どちらかというと後者に属する概念として取り扱われていましたが、これを機会に前者、つまり非科学的な要素を漠然と信じるだけではなく、論理的科学的な方法を用いて、裏付けを明確に解明していこうという動きが出始めました。これらはまとめて「スコラ錬金術」と呼ばれています。

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スコラ学は手法であり概念ではない

この時期発展したスコラ学は、あくまでも問題に対するアプローチの手法であり、問題そのものに対する回答となりうる概念ではありませんでした。
当時のキリスト教や錬金術は、非科学的な矛盾を多く含んでいたので、科学的にはいわゆる「つっこみどころ」が満載だったのですが、スコラ学の出現によって、少なくとも矛盾点の抽出や、それに対する議論などが活発におこなわれるようになり、またその手法が革新的であったがゆえに、反対派も数多く生み出しています。

キリスト教における東西の分裂は、現代にも引き継がれており、とくに宗教や哲学分野においては、スコラ学という手法そのものに対する大きな反発があったもの、と思われます。

錬金術はもともと論理的だった?

もっとも、紀元前アレキサンドリアの時代から、スコラ学の誕生に至るまでの長い期間における錬金術の基本的な考え方は、どちらかというと非常に物理的・科学的なものでした。

「卑金属を貴金属に変える」、「人間を不老不死にする、また人間自体を人工的に生み出す」といった命題は、自動車のない時代に自動車を生み出したり、固定電話しかない時代に携帯電話を開発したり、といったアプローチに似ていて、究極的には「命題の物理的な実現」を目指しています。
ゴールが物理的である以上、(それこそ「魔法を使う」などしない限りは)現実的に立証された事実を積み上げていくしか方法はない、といえます。

こういった意味では、11世紀に発生したスコラ学と錬金術の相性はすこぶるよかったのではないかと思われます。かつて錬金術創成期には、ヘルメス・トリスメギストスという有名な錬金術師が登場していますが、スコラ学誕生以降の錬金術師にも、スコラ錬金術を発展させた著名な人物が何人かあらわれています。

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カテゴリ: その他

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