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国譲りを成し遂げた刀剣の神が持つ剣「布都御魂」(1)

刀剣伝説

 

「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)=草薙剣(くさなぎのつるぎ)」、「天十握剣(あめのとつかのつるぎ)」とともに日本三霊剣とされるのが、「布都御魂(ふつのみたま)」という剣です。
布都御魂が初めて登場するのは、古事記・日本書紀に語られる「出雲の国譲り神話」という神話。高天原の天津神(あまつかみ)が、出雲の国津神(くにつかみ)から「葦原中国(あしはらなかつくに/日本の国土のこと)を譲り受けるという物語です。

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国譲り神話とは

布都御魂の剣が登場する前に、国譲り神話がどんな物語だったか簡単にご紹介しましょう。
地上では須佐之男命(すさのおのみこと)が八岐大蛇を退治した後、その六世の孫(日本書紀では息子としている)である「大国主神(おおくにぬしのかみ)」が国造りを完成させます。

 
しかし高天原の天照大神は、「この地上の国はわが息子(子孫)が統治すべき国だ」と息子の天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)を派遣しますが、途中の天浮き橋から下界を覗き、手に負えないと引き返してしまいます。
それから高天原の神々は相談し、今度は天菩比神(あめのほひのかみ)を遣わしますが逆に大国主神に心服して戻って来ず、次に天若日子(あめのわかひこ)を派遣しても同じく戻って来ません。

 
更には天若日子は、もし邪心があるなら当たるとされた高天原からの矢に胸を射抜かれ、死んでしまうのです。
そして最後に派遣されたのが、天之尾羽張神(あめのおはばりのかみ)の息子である「建御雷神(たけみかづちのかみ)」です。

 

 

イザナギの天十握剣から生まれた刀剣の神

建御雷神とはそう、国生み神生み神話で妻の伊邪那美命(いざなみのみこと)が火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)という火の神を生んだのが原因で亡くなったことから、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が息子の火之迦具土神を斬ってしまったときに、その剣についた血から生まれた神なのです。

 
つまり建御雷神の父である天之尾羽張神とは、伊邪那岐命の持つ天十握剣(あめのとつかのつるぎ)のこと。刀剣の祖とされる天十握剣は別名を、天之尾羽張または伊都之尾羽張と言います。
このように建御雷神とは、火の神の血と聖剣から生まれた神で、火=雷の神、そして刀剣の神なのでした。

 

 

国譲りを成し遂げたタケミカヅチ

天照大神と高天原の神々は、建御雷神に天鳥船神(あめのとりふねのかみ/雷神が乗る船の神)を添えて地上に派遣します。大国主神に国譲りを迫る建御雷神の問いに、大国主神は息子の決断に答えを委ねます。

 
息子の事代主神(ことしろぬしのかみ)は譲ることを承知しますが、別の息子の建御名方神(たけみなかたのかみ)は承知せずに建御雷神に力競べを挑み、負けてしまいます。建御名方神は信濃国まで逃げますが、建御雷神に追いつめられて最後には承知し、2人の息子が承知したことから大国主神も国譲りを認めます。大国主が国譲りと引換えに自分の住む神殿を建てることを要求し、それが現在の出雲大社となりました。
この国譲り神話のなかで、最後に国譲りを成し遂げる刀剣の神・建御雷神の持つ剣こそが布都御魂なのです。

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