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ジンクスはコミュニケーションツール。チャイルドロアは子供のジンクス?

ジンクス

 

現代は「コミュニケーション重視の時代」といわれています。
「ロジカルコミュニケーション」や「コミュニケーションスキル」といったキーワードをもってビジネススクールが人気を集めたり、メールやSNSをはじめとした双方向コミュニケーションツールも、幅広い層に根付いています。
同様に、国や性別、年齢層を問わず浸透しているジンクスは、コミュニケーションという視点で捉えた場合、どのような位置づけとなるのでしょうか。
ここでは、ジンクスとコミュニケーションの関連性について、考察していきます。

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コミュニケーションの本質とは何か

まず、「コミュニケーションの本質」について、考えてみます。
マネジメント理論などで有名なドラッカーの言葉に「コミュニケーションは受け手の言葉(=受け手の経験にある言葉)を使わなければ成立しない」といったものがあります。

 
また、人が話し声を含むあらゆる「音」は、「聞く人がいないと成立しない」ということもいえます。
これらが示していること、それは「コミュニケーションの本質とは、発信者=話し手ではなく、受信者=受け手、聞き手が成立させるもの」なのではないでしょうか。
そうすると、コミュニケーションを成立させるには、受け手を特定して、わかるように伝えることが重要になります。

 

 

人間心理をおさえれば、成功確率が高まる

次に「受け手はどのような内容に対して興味を示す=聞く気になるのか」という点を考えてみます。
タイプ別に人間心理の区別する方法はいくつも考案されていますが、一般的な例のひとつとして、

①目的型=メリットを明確に示す
②人間性重視型=心遣いや情熱を示す
③流行重視型=他に人もおこなっていることを説明する
④承認型=現状を認めたうえで、さらによくなることを示す
⑤堅実型=懇切丁寧にマニュアル式に示す
⑥負けず嫌い型=④の逆のアプローチ(=現状は無理でしょう)をとる

といったものがあります。
相手=聞き手がこのうちのどのタイプなのかを見極め、効果的なアプローチをとって、コミュニケーションを成立させる、といった方法です。

 

 

ジンクスはコミュニケーションツール

ジンクスには、コミュニケーションの本質をおさえたうえで、聞き手に響くようなシンプルな構成のものがたくさん存在しています。
先のお話したタイプ別の例として、③流行重視型には「長いものに巻かれたり、勝ち馬に乗れば失敗しない(「バンドワゴン効果」ともいわれています)」、⑤堅実型には「毎日少しずつ○○を続けていれば、良いことがある」といった具合です。
とある相手の動きをジンクスに当てはめて効果的なコミュニケーションを試みたり、自分のタイプにあったジンクスをチョイスして、願いや目的の成功確率をあげることができたりというように、ジンクスはコミュニケーションのツールとしても活用することができるのです。

 
ジンクスは大人だけに通用するものではありません。
子供にとってひとつのコミュニケーションツールになっているジンクスもあるのです。

 

 

ジンクスとチャイルドロア

教育関係や文化研究等の周辺用語のひとつに「チャイルドロア」という耳慣れない言葉があります。
一般的にはまだ浸透していないキーワードでもありますが、この分野では、子供の間で伝わっているジンクスや替え歌の本格的な研究がなされていたりしているようです。
ここでは、ジンクスとチャイルドロアについての研究例をご紹介します。

 

 

チャイルドロアは何か

チャイルドロアとは、もとは英語の「childlore」からきていて、「子どもの間で伝承されている文化」という意味です。
ちなみに同じように「○○ロア」がつく言葉に「フォークロア(=フォルクローレ)」がありますが、民族文化や民謡のことを指すそうです。
「チャイルドロア」とジンクスに関する研究結果が、東北文教大学短期大学関係者によって2012年に論文化されています。
山形市内の小学5年生220人に対するアンケートをおこない、きめ細かい傾向分析をおこなっておられます。

 
出典:アンケート調査にみる小学生とジンクス
http://repo.lib.yamagata-u.ac.jp/bitstream/123456789/10491/1/btbc-2-01390148.pdf

東北文教大学短期大学ホームページ
http://www.t-bunkyo.jp/jc/kodomo/professors/9.html

 

 

子供のジンクスには2種類ある?

中でも面白いのは、「幸運、不運に直接関わる出来事がコントロール可能かどうか」によって、コントロール不可能=ジンクス、コントロール可能=まじないと分類しているところです。

 
たとえば、「『学校に行く途中で、黄色い車を3台見ると良いことがある』という場合は、『偶発性に大きく左右される出来事であり、自分ではコントロール不可能』であるため『ジンクス』に分類し、『テストの時に青い鉛筆を使うと良い点数がとれる』という場合は、『テストの時に青い鉛筆を使用することは、十分、コントロール可能の範囲内にある』ため『まじない』に分類する」、といったものです。

 
「ジンクスを活用する主体(この場合は小学5年生の子供)の意志が起点になっている場合にはジンクスとみなさず、まじないとみなす」という整理の仕方は、賛否両論の可能性はあるものの、ジンクスを深堀するためのとっかかりとしてはなかなか有効な分類である、といえます。

 

 

ジンクスは子供のときに既に浸透している!

分析結果も非常に興味深いデータとなっています。
男子より女子のほうが活用しているジンクスが多く(約1.5倍)、両者ともラッキージンクスよりアンラッキージンクス(=○○すると良くない)が多い結果が見られます。

 
また、ジンクスを活用していた時期も、小学校にあがる以前から5年生にいたるまで、年々増加しているのです。
現代において、大人にもジンクスを信じる人が多いことを考えると、「年を重ねるごとにジンクスの数が増えているのではないか」と思われます。

 
アンケート結果では、小学5年生時点で活用しているジンクスの総数は約400弱であり、非常にメジャーなジンクスはほぼ網羅しています(四葉のクローバーのラッキージンクスや、カラスの羽のアンラッキージンクス等)。
論文の残課題として「ジンクスをおこなうことは、子どもにとってどのような意味があるのだろうか」の問いかけで論文は終了していますが、残課題の分析結果が待たれるところです。

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カテゴリ: その他

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