> >

シュメールの滅亡は神々アヌンナキが定めた運命だった

876574
 
人類最古の都市文明とされる「シュメール」には、地上と冥界を審判し運命を定める「アヌンナキ」という神々がいました。

シュメールの都市国家による文明は紀元前3,500年に始まり、都市国家間での覇権を求めた争い、シュメールの統一、それまでシュメール人と共存関係にあったアッカド人によるアッカド帝国から、シュメール人による王朝の再建を経て、紀元前2,004年にシュメールは滅亡します。

スポンサードリンク


 
この最後の王朝は南部の都市ウルを中心とした「ウル第三王朝」と呼ばれますが、やがて旧約聖書ではカナンの諸部族とされるアムル人(シュメール語でマルトゥ人)のティドニム族や、イラン高原南西部のザクロス山脈沿いに住むエラム人がたびたび侵攻し、最後はエラム人によりウルの首都は陥落。シュメールの歴史は幕を閉じます。

このシュメールの滅亡は、実はシュメールの神々たち、つまりアヌンナキの決定によって運命が定められたのだというのです。

 

シュメールとウルの滅亡の運命を定めたアヌンナキ最高位の神々

粘土板に残された「シュメールとウルの滅亡哀歌」によると、あるとき天空の神アン、風を司る神エンリル、アブズと呼ばれる深淵を司る知恵と水の神エンキ、そして大地の女神でエンキの妻ニンフルサグは、ウル滅亡の運命を定めたのだと言います。

天空の神アンは、アヌンナキという名称が「地上に降りたアンの子供(子孫)たち」であるように神々の父であり、かつての最高神。エンリルはアンの息子で、地上に降りた神々の最高神です。そして人間を生みだす知恵を授けたエンキとその妻で大地の豊穣の女神ニンフルサグといえば、おそらく上位七大神で構成するアヌンナキでも最高位の神々ということでしょう。

その神々が定めたシュメール滅亡の運命は、「変えられない、誰も破ることはできない」というものでした。

アンはシュメール人の住む場所を荒々しく扱い、人びとを恐怖に陥れます。エンリルは人間の日常を苦しいものに変え、都市は沈黙に包まれます。

ニンフルサグは、女性の住む部屋に閂をかけて閉じ込めてしまい、エンキはチグリス・ユーフラティス川の水を干上げてしまいます。

さらに太陽神で正義の神のウトゥは、正義と真実を人間から消し去ってしまい、愛と戦いの女神イナンナ(イシュタル)は、侵攻して来る蛮族に戦闘の力を与えてしまうのです。

このようにしてアヌンナキの神々に見捨てられ、運命を定められたシュメールと首都ウルは、呪われた都市となって蛮族に攻められ滅びの道を歩むことになります。

 

都市と国家は滅び、神々は去って行く

ところでシュメールの神々は、シュメールが都市国家としてそれぞれに王がいた時代より、それぞれの都市に祀られ都市国家の王に王権を授ける存在でした。

そしてウルに祀られている神は月の神ナンナでした。ナンナはウルの滅亡を嘆き、この都市を見捨てて去ることになります。同じようにエンリルは自身が祀られている都市ニップルを、エンキは都市エリドゥを、そしてニンフルサグは都市アダブを、それぞれに嘆きながら見捨てて去ることになるのです。神々のいるシュメールの都市は、神々から見捨てられた都市になったのでした。

それではどうして、こんな事態になったのでしょうか。ウルのナンナ神は最高位の神エンリルの息子です。そのエンリルは息子にこう言います。ウルは確かに王権が与えられた都市ではあるが、それは永遠に続くものではないのだと。遥か昔に国土ができて人間が生みだされ繁栄し続けて来たとしても、それが永遠に続くことはなく王朝はいつか滅びるのだと、エンリルは言います。

こうしてシュメールと最後のウル第三王朝は滅亡しました。しかし最高神エンリルはウルのナンナ神にこう言います。滅びは、しかしやがて終わる。再びウルは再建されて、再び人間たちはナンナ神を崇拝することになるだろうと。

歴史ではウル第三王朝の滅亡後も、古くからの伝統となっていたナンナ神殿に王族の娘を巫女の長として捧げる習慣が継続し、シュメール後の古バビロニア時代の諸国の王たちがウル第三王朝の後継者という立場を得るために、ウルの都市は競って修復がなされたのだといいます。

このエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサードリンク
スポンサードリンク

Comments are closed.