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リインカーネーション型の転生とは(2)ブラヴァツキーの新智学

輪廻転生

近代ヨーロッパの進歩的思想や社会主義思想、啓蒙主義やロマン主義などを背景にフランスの心霊主義から始まった「輪廻転生(りんねてんしょう)」の考え方は、現在につながる「リインカーネーション型」となりました。

この「リインカーネーション型」を創始したアラン・カルデックの輪廻転生論を引き継いだのが、ロシア人で19世紀の後半にアメリカで活動したヘレナ・P・ブラヴァツキーです。
彼女は近代新智学を創始した人で、インド哲学のカルマ思想や進化論、新プラトン主義などを折衷して取り入れ、現代のニューエイジ思想になどにつながる輪廻転生論を唱えました。

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ブラヴァツキー夫人の新智学運動とは

「新智学」とは、神秘的な直感や思弁、幻視、瞑想、啓示などを通じて、神と結びついた高度な知識を獲得したり、神に近い高度な認識に到達しようとするものです。
こういった考え方は古代からあり、中世のヨーロッパではユダヤ神秘主義による「カバラの新智学」が12世紀から13世紀にかけて広まっています。

ヘレナ・P・ブラヴァツキー(ブラヴァツキー夫人)の新智学運動は、古代から伝承されて来た宇宙と人間の秘密や秘儀から東西の宗教が発生したとし、諸宗教の対立を超えて秘密や秘儀を共有し東西の智の融合と統一をはかることで、古代の根源的な「神的叡智」を得ようとするものでした。

当時の欧米社会では、仏教やヒンドゥー教などのインド宗教に関心を持たれ始めていたことから、ブラヴァツキーはそれらの輪廻転生やカルマといった思想や考え方を多く取り入れました。しかしそれは、あくまで西欧的な神秘主義的解釈に基づいたものだったことから、本来のものとはだいぶ異なる誤解や独自の理解によるものになってしまったようです。

 

 

ブラヴァツキー夫人が提唱した輪廻転生とカルマの法則

ブラヴァツキーの輪廻転生論は、身体の進化に至る基礎として「霊的な進化」が必要であると唱え、人間は個人としても集団としても輪廻転生の生まれ変わりを繰り返し、霊的な進化を遂げることにより最終的には神に近い完全な存在となり、根源に還るとしました。

またブラヴァツキーによるカルマとは、宇宙的な因果律であり、人間はその宇宙的な因果律によって輪廻転生の生まれ変わりによる進化を行うということだそうです。

スピリチュアルの世界で良く使われる「カルマの法則」という言葉は、輪廻転生により連続した生命の環境を統括する概念としてブラヴァツキーが提唱したもので、インド哲学の「業(カルマ)」の思想を取り入れながら独自の解釈を行ったものだということです。

 

 

仏教の輪廻転生から離れ、独自のリインカーネーション型輪廻転生へ

ブラヴァツキーが唱えた輪廻転生論は仏教の思想を取り入れながらも、霊的進化と神に近づく存在になるという直線的な考え方が強調され、本来の仏教の輪廻転生からは大きく離れて行ってしまいます。

特に死後に次の生へと転生する「自我」もしくは「霊魂」という考え方は、仏教の「我」の存在と転生を否定する「無我」とは相反する考え方でした。

このような考え方に代表される欧米の輪廻転生論は、インド哲学や仏教の輪廻転生とは別のリインカーネーション型輪廻転生として現在に至っています。

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