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ケンタウロス族の誕生の鍵、イクシーオーンの物語

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半人半馬の種族「ケンタウロス」がどのように生まれたのか、ギリシャ神話ではその伝説が語られています。
紀元1世紀から2世紀頃の、古代ローマ帝国統治下時代のギリシャの著作家であるアポロドーロスが編纂した「ギリシャ神話」には、ケンタウロスがなぜ生まれたかの物語が記されています。

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ケンタウロスの出自に関係するテッサリア地方のラピテース族

それによると、ケンタウロスのふるさととされるテッサリア地方にいた神話のなかの民族である「ラピテース族」に、大いに関係があります。

ラピテース族は、オリュンポスの十二神のひとりで最高神ゼウスの子であり、芸能・芸術の神として名高いアポローンと、テッサリア地方の河神のペーネイオスの娘スティルベーとの間に出来たラピテースを祖神とする一族です。この部族は、主にテッサリア地方のペーネイオス川(ピニオス川)流域のテッサリア平原や、東南部のエーゲ海に面するオッサ山やペリオン山などの山岳地域に住んでいたとされています。

祖神ラピテースの子ペリパースはラピテース族の王となりますが、その孫にイクシーオーンという者がいました。イクシーオーンは、ペリパースの子で二代目王アンティオーンの子とも、別の説としてコリントスの王の系譜を持つプレギュアースの子とも言われています。

 

ケンタウロスを生みだした親族殺しのイクシーオーンの物語

さて、イクシーオーンがギリシャ神話で有名なのは、親族を殺した初めての者といわれ、さらに罪を重ねて神罰を受け、火焔車に縛りつけられ永遠に回転するという「イクシーオーンの車輪」で知られているからです。そしてこのイクシーオーンこそが、ケンタウロス族を生みだしたのでした。

それでは、イクシーオーンの物語を簡単にご紹介しましょう。

イクシーオーンはデーイオネウスの娘ディーアと結婚することになり、豪華な結納品を贈ることを約束しました。しかしデーイオネウスが立派な馬を送っても、イクシーオーンはなかなか約束した結納品を贈ろうとしません。怒ったデーイオネウスは、贈り物の馬を取り返してしまいます。それによって、イクシーオーンは結納品を贈るどころか馬を取り返されたことに逆恨みし、なんとデーイオネウスを殺そうと思い立つのです。

彼は、結納品を用意したと言ってデーイオネウスを招き、デーイオネウスがイクシーオーンのもとに来る途中の道に落とし穴を掘って、そこに真っ赤になった炭火を入れました。デーイオネウスはまんまと落とし穴にはまり、焼け死んでしまいます。

 

イクシーオーン、ゼウスの妻ヘーラーも誘惑しようとする

このイクシーオーンの悪業に神々は怒り、罰するようにゼウスに進言します。しかし、イクシーオーンの妻となったディーアは、父親を殺されたにも関わらずゼウスにイクシーオーンの命乞いをしたのでした。

ディーアは大変な美人でしたから、女好きの神でもあるゼウスはその望みを受入れてイクシーオーンの罪を浄め、神々の宴席に招きます。しかしイクシーオーンはこの場を利用して、ゼウスの妻である最高位の女神ヘーラーを誘惑しようとするのです。好色のゼウスがしばしばヘーラーを裏切っていたことを知っていたイクシーオーンは、ヘーラーが自分の誘いに乗るだろうと考えたのでした。

しかしゼウスは、そんなイクシーオーンの企みなどお見通しだったのです。
この物語については、別の記事につづきます。

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